出生率低下に対する各国の対策…有効な解決策を見つけた国はまだない(海外)

AI要約

各国は少子化対策として革新的な戦略を模索している。金銭的なインセンティブが一般的だが、有効な解決策は見つかっていない。

一部の国では、子どもを持つことに対する奨励金やメダル、補助金などが支給されているが、これだけでは問題解決には繋がらない。

金銭的なインセンティブは、出生率の一時的な増加をもたらすかもしれないが、長期的な解決策にはなりにくいとの指摘もある。

出生率低下に対する各国の対策…有効な解決策を見つけた国はまだない(海外)

各国は少子化対策として革新的な戦略を模索している。

奨励金やメダル、自動車購入のための補助金まで提供する国もある。

しかし専門家によると、有効な解決策を見つけた国はないようだ。

世界の多くの国で出生率が低下する中、各国は女性がより多くの子どもを産むことを奨励するための革新的な戦略を模索している。

これらにはまとまった額の資金援助や金メダルの授与、さらには税制上の優遇措置もあると、複数の人口統計学の専門家がBusiness Insiderに語っている。

しかし、どれも単独で問題を解決するには十分ではないようだ。各国の対策を紹介しよう。

出生率の低下に対処するため、いくつかの国がいわゆる「ベビーボーナス」を導入している。

COVID-19のパンデミックの間、シンガポールは子どもを望むシンガポール人カップルに一時金を支給していたほか、「ベビーボーナス制度」で現金を支給することがインセンティブとなっている。

出生率が世界で最も低い韓国は、新生児の親に子どもが1歳になるまで月750ドル(約12万円)を支給している。さらに、子どもが1人誕生するごとに約7万ドル(約1100万円)を支給することさえ検討しているとブルームバーグが伝えている。

一方、中国の地方政府は、2人以上の子どもを持つことを奨励するために、数千ドル相当の一時金を提供することもある。

しかし専門家は、金銭的なインセンティブだけでは長期的な解決策にはならないと指摘する。

オックスフォード大学高齢化問題研究所の所長で、老年学教授のサラ・ハーパー(Sarah Harper)は、金銭的なインセンティブが「ミニベビーブームとそれに続くベビークラッシュ」を助長したとBIに語っている。

「これまで出産時期を分散させていた女性たちが、現金ボーナスを得るために一斉に出産すると、その後の出産率は低下する」

その他の金銭的なインセンティブには、多くの子どもを出産した母親に与えられるカザフスタンの賞制度がある。これは、ソ連時代の「マザーヒロイン」という名誉称号にヒントを得た制度で、6人出産すると銀メダル、7人以上出産すると金メダルが授与され、母親は生涯にわたって金銭的な手当を受け取ると、BBCワークライフが報じている。

2022年にはロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領も同様の制度を導入し、10人以上の子どもを持つロシア国民に称号を与え、約1万7000ドル(約270万円)の一時金を提供した。

ハンガリーのオルバーン・ヴィクトル(Viktor Orbán)首相も、経済的な特典を与えることで出生率を向上させようとしている。

ハンガリーでは、30歳未満で母親になった女性や、4人以上の子どもを持つ女性は、個人所得税を生涯免除される。

さらに、3人以上の子どもがいる家庭では7人乗りの車を購入する際に補助金が支給されるとAP通信が伝えている。また子どもの数に応じて住宅ローン控除が受けられるとWacław Felczak Instituteが伝えている。

テキサスA&M大学で出生率について研究するトレント・マクナマラ(Trent MacNamara)教授は、金銭的なインセンティブが出生率に与える影響は不確実で、わずかな上昇しかもたらさない可能性があるとBusiness Insiderに語っている。

「例えば、政府が子どもが誕生した家庭に子育て費用の約5%を支給した場合、出生率が上昇する可能性は約5%だ」