立民、次期衆院選で不正還流関与の議員に対抗馬…世論批判追い風に擁立急ぐ

AI要約

立憲民主党が、自民党派閥の政治資金規正法違反事件を追い風に攻勢を強めている。

不正還流に関わった議員が出馬する全小選挙区に対抗馬を擁立し、次期衆院選を争点化する準備を進めている。

立憲民主党は200人の候補者擁立目標を設定し、強気の態度で次期衆院選に臨む姿勢を見せている。

 立憲民主党が、自民党派閥の政治資金規正法違反事件を追い風に攻勢を強めている。次期衆院選では、不正還流に関与した議員が出馬する全ての小選挙区に対抗馬を擁立し、争点化を図る構えだ。「政治とカネ」の問題に焦点を当てることで世論の批判を呼び起こす狙いがあるが、擁立作業は難航している。

 「自民と小選挙区で競えるよう夏もしっかり馬力をかけて擁立を進めたい」

 岡田幹事長は25日の記者会見でこう強調した。自民内で高まる岸田首相(自民総裁)批判について「改革を前に進めたことがけしからんとの不満が噴出しているとすると、この党の将来はない」とも断じた。

 立民は、2月の党大会で次期衆院選小選挙区での候補者擁立目標を「200人」と設定した。現時点では180人にとどまっているものの、泉代表は「単独過半数(233議席)を取れるだけの候補者擁立を目指す」と上方修正にも意欲を示す。読売新聞社の世論調査(21~23日)で次の衆院選の後に望む政権について聞いたところ、「野党中心の政権に交代」が42%に上ったことも強気の姿勢を後押ししている。

 焦点となるのが、不正還流に関与した自民議員が出馬する小選挙区での擁立作業だ。野田佳彦元首相は23日、茨城県土浦市での講演で「反省のない人たちは有権者が処分を下さないといけない。全国の裏金議員に候補者をぶつけるのが立民の役割だ」と積極擁立すべきだとの考えを示した。

 不正還流に関与した自民議員のうち、次期衆院選に小選挙区で出馬する見通しとなっているのは、25日時点で46の小選挙区(読売新聞社調べ)に上る。これに対し、立民は30選挙区で独自候補を擁立する方針だが、安倍派中枢の「5人衆」だった萩生田光一前政調会長(東京24区)、西村康稔前経済産業相(兵庫9区)、二階派事務総長だった武田良太元総務相(福岡11区)らの選挙区は空白となっている。

 こうした状況に執行部が期待を寄せるのが22日に開講した「りっけん政治塾」だ。約500人の参加者のうち7割が地方選、国政選を問わず立候補に意欲を示しており、人材掘り起こしにつなげたい考えだ。

 一方、幹部による政治資金パーティーの開催自粛で「政治活動への影響は不可避だ」との不満も漏れる。泉氏は21日の会見で「お金のない中でも政権交代に向かうことが可能だということを示したい」と述べたが、「敵失を訴える『風』頼みでは限界だ」(若手)との声も上がっている。