インド太平洋、経済安保で危機感共有 中露連携への対応焦点に G7サミット

AI要約

岸田文雄首相はG7サミットでインド太平洋と経済安全保障に関する連携を強調し、中国や北朝鮮への対応を確認した。

ウクライナ情勢と東アジアの結びつきについても言及し、中国やロシアに対する制裁方針も示した。

G7は中露連携に対抗し、結束を固めることが焦点となっている。

インド太平洋、経済安保で危機感共有 中露連携への対応焦点に G7サミット

【ファサーノ(イタリア南部)=千葉倫之】岸田文雄首相は14日、先進7カ国首脳会議(G7サミット)2日目の討議に臨んだ。インド太平洋と経済安全保障をテーマとした討議で、首相は「インド太平洋と欧州の安全保障は不可分一体であり、引き続きG7間で連携を深めたい」と提起。中国を巡る諸課題や、核・ミサイルと拉致問題を含む北朝鮮への対応で、引き続き緊密に連携していく方針を確認した。

首相はインド太平洋と経済安全保障について、「G7が国際社会をリードし続ける上で戦略的に重要だ」との認識も表明した。

首相は前日の13日に行ったウクライナのゼレンスキー大統領との会談でも「2国間文書の署名により、ウクライナの問題が欧州だけではなく国際社会全体の問題だと改めて示すことになる」と語った。発電機や地雷除去機など新たな支援や、来年秋に地雷対策の国際会議を日本で開く方針も表明した。

これに先立つ13日の討議でも「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」と重ねて強調。中国が軍事転用可能な物資をロシアに輸出していることも踏まえ、中国企業などに初めて制裁を科す方針も説明した。

ウクライナ情勢と東アジアの結びつきは明らかだ。ロシアは北朝鮮製の砲弾などをウクライナで使用し、日本の安全を脅かす北朝鮮の弾道ミサイル開発には露が技術協力している。プーチン露大統領が近く訪朝する計画も取り沙汰される。

中国も同様だ。欧州では最近、電気自動車(EV)の過剰生産問題など特に経済分野で対中警戒感が高まっている。ただ、中国の物資輸出が軍事面でロシアを支えている実態への危機感もG7内で急速に共有されつつある。G7が結束し、中露連携に対抗できるかも焦点となる。