被災の和倉温泉「加賀屋」スタッフ各地へ出向、受け入れ側も「おもてなし日本一」学ぶ

AI要約

石川県七尾市の和倉温泉にある老舗旅館「加賀屋」のスタッフが、能登半島地震で被災し、名古屋市のホテルなどに出向して活躍している。

加賀屋は建物の診断を進めているが、館内の水道管などは復旧しておらず、再開の見通しは立たない。4旅館の従業員約100人は各地にある旅館やレストランに出向させられた。

ジェイアール東海ホテルズ(名古屋市)は、加賀屋スタッフ約10人を8月末までの予定で受け入れており、相互の専門知識や技術を共有することで成長している。

 能登半島地震で被災した石川県七尾市の和倉温泉にある老舗旅館「加賀屋」のスタッフが、名古屋市のホテルなどに出向して活躍している。グループ4旅館が休業中のため職場を確保する狙いもあるが、受け入れ側も「おもてなし日本一」の宿の技術を学ぶ機会となっている。

 「知らなかった調理法もあって、スキルアップにつながる」。加賀屋姉妹館の「あえの風」の調理担当だった川崎喜太郎さん(28)は3月から、名古屋マリオットアソシアホテル内のフランス料理店で働く。

 川崎さんは元日、七尾市の実家でだんらん中、突然激しい揺れに襲われ、祖母の手を引いて外へ逃げた。家族全員無事だったが、家屋は傾き、勤務先の旅館も外壁が崩れるなどした。

 加賀屋は建物の診断を進めているが、館内の水道管などは復旧しておらず、再開の見通しは立たない。4旅館の従業員約100人は各地にある旅館やレストランに出向させた。川崎さんは「戻った時に新たな魅力を加えられるように学びたい」とホテル客室に住み込みながら厨房(ちゅうぼう)に立つ。

 ジェイアール東海ホテルズ(名古屋市)は、運営する名古屋マリオットや岐阜県高山市のホテルで計10人ほどを8月末までの予定で受け入れる。加賀屋は「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で2015年まで36年連続総合1位で、名古屋マリオットの担当者は「加賀屋スタッフのお客さまとの距離の近さを肌に感じる。学ぶことが多い」と語る。