厚生年金の適用拡大へ 非正規の低年金問題に対応、企業規模条件撤廃

AI要約

政府は厚生年金の加入条件を撤廃し、非正規労働者の年金問題に対応する方針を固めた。

現在は「従業員101人以上」の企業でのみ加入可能だが、規模条件を撤廃することで約130万人の新たな加入者が見込まれる。

しかし、労使折半の保険料負担が懸念され、中小企業への支援が必要とされている。

厚生年金の適用拡大へ 非正規の低年金問題に対応、企業規模条件撤廃

 パートで働く人ら短時間労働者の厚生年金の加入をめぐり、政府は現在「従業員101人以上」(10月から51人以上)としている企業規模の条件について撤廃する方針を固めた。非正規労働者の低年金問題に対応するため、給付が手厚い厚生年金の加入者を増やす。来年の通常国会に関連法案を提出する考えだ。

 厚生年金の主な加入対象は、フルタイムで働く会社員。パートやアルバイトといった短時間労働者は現在、「従業員101人以上の企業で週20時間以上働き、月収8万8千円以上の人」「100人以下の企業で通常週30時間以上働く人」が対象となっている。

 公的年金は「2階建て」で、1階部分にあたる定額の基礎年金(国民年金)は満額で月約6万8千円。2階部分の厚生年金の加入者を増やし、年金を上積みできるようにすることが課題だ。

 政府は、これまでも適用拡大を進めてきた。2022年には、対象企業の規模を「従業員501人以上」から「101人以上」に拡大。今年10月からは「51人以上」にする。規模条件を撤廃した場合、厚生労働省の試算では適用対象者4610万人に、新たに130万人が加わる。

 ただ保険料は労使折半で中小企業などの負担が生じるため、同省の検討会では国からの支援を求める声が上がっている。

 政府は、こうした方針を6月にまとめる「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に盛り込む考えだ。