「ポルシェを自在に操るドラテク」が身につく!? “クルマ好きの新たな聖地”で始まった新プログラム「G-Force」は何がスゴい?

AI要約

ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京の新プログラム「G-Force」は、ポルシェを不安定な状況にしてリカバリーするスキルを学ぶ内容で、リアエンジンの911カレラシリーズが使用される。

プログラムでは360度ターンやリバースからの180度ターン、ドリフトサークルなど高難易度の走行が体験され、複雑な操作や瞬時の判断力が要求される。

ポルシェドライビングコーチのアドバイスが必要不可欠であり、挑戦を続ける中でポルシェとの対話を楽しむ機会が得られる。

「ポルシェを自在に操るドラテク」が身につく!? “クルマ好きの新たな聖地”で始まった新プログラム「G-Force」は何がスゴい?

 日本のポルシェユーザーにとって、まさに聖地のような存在といえる「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京」(以下、PEC東京)のドライブプログラムに、新たに「G-Force」が加わりました。

 以前レポートした「Accerated(アクセラレート)」を筆頭に多彩に用意された「PEC東京」のプログラムの中で、この「G-Force」が異色なのは“クルマをあえて不安定な状況にして、そこからのリカバリーを学ぶもの”だということ。不測の事態への対処、緊急回避の会得により、ポルシェを自在に操るスキルが身につけられるというわけです。

 使われる車両は、ポルシェ「911カレラ」シリーズの中の「カレラ」、「カレラS」、「カレラGTS」の3モデル。不安定な挙動を体験するプログラムだけに4WDではなく、すべてRR(リアエンジン/リアドライブ)の車種となります。

 その中で私(島下泰久)は、今回、「911カレラS」でこの「G-Force」に臨みました。

 まず向かったのは「キックプレート」。ここの路面には、車両が通過するときに埋め込まれたプレートをスライドさせることで、強制的にスライド状態にさせる装置が埋め込まれています。しかも、舗装自体も雪道並みの低ミューで、かつ散水された状態です。

 ここでは360度ターンに挑みます。手前から加速していって、ちょうど40km/hの速度で飛び込むと、当然ながら車体はあっさりスピン状態に……。

 通常なら、ここで修正舵によって姿勢を立て直すわけですが、今回はあえて車体を360度回転させて、まるで何事もなかったかのように脱出させることを学びます。

 リアが流れ出したら、むしろステアリングを順目に一気に切り込み、アクセルオン。クルマを回してしまい、次の瞬間にはフルロック近くまでカウンターステアを当て、ブレーキを入れて挙動を止めて、ちょうどいい向きにして立ち上がる……というわけです。

 正直、これが簡単ではないんです。リアが流れ出すと習性として瞬間的にカウンターステアを当てたり、ブレーキを踏んだりしてしまうもの。あえてそうしないことには頭の切り替えが必要でした。

 理想は、カウンターステアを当てて対処するのと、今回学んだように車体を360度回してしまって立ち上がるのと、場面に応じて使い分けられるその両方の引き出しを持っておくことなんでしょう。

 最初は「こんなの無理」と思うのですが、最終的にはなんとかクリア。これはもう、常に助手席から的確なアドバイスを送ってくれるポルシェドライビングコーチのおかげです。単に操作方法を指示するのではなく、こちらの運転を見て、何をすれば近道になるのか、うまいことサポートしてくれるんです。

 まずは肩慣らしのつもりでしたが、とんでもない。これは奥行きが深そう。そしてクルマとの対話を楽しめそうです。

 続いては、リバースからの180度ターンに挑みます。想像できるでしょうか。映画やテレビでよく観るアレです。

 流れとしては、静止状態から40km/hまでバックで加速させて、一気にステアリングを切り込んで車体をスピン状態へ。ちょうど逆向きになったらブレーキで動きを止めながら、Dレンジに入れてアクセルを踏み込み、走り出すという流れになります。

 難しいのは、一連の動作をきれいにつないでいくところ。スピン状態にするのはすぐにできたのですが、それを止めることに気を取られていると、Dレンジに入れるのを忘れて立ち上がりが遅れてしまいます。

 スピンさせながら車体の回転をどの向きで止めるのかを考え、止めながら次に加速していくことまで視野に入れる。そんな風に常に次の動作をイメージしていなければいけないんですね。これまた難しい!

●的確なアドバイスを送ってくれるポルシェドライビングコーチ

 次に移動したのは「ドリフトサークル」。ここも散水してあります。

 ここでは通常、定常円旋回でのドリフトを学ぶのですが、「G-Force」ではパイロンを使った3つのゲートを通過しながらのドリフト旋回という、さらに高難易度の走りを体験します。

 ドリフトしながら途中でラインを変えていくには、当然アクセル、ステアリングのより繊細な操作が必要です。すべらせるといっても急な操作は必要なく、むしろアクセルもパーシャル領域をうまく使ってやる必要があります。

 しかも意地悪いことに、この路面、途中でミューが微妙に変化しているので、それへの対処も必要。「ここはグリップするな」という路面を、走りながら見つけていくことも求められます。全く休むヒマなどありません。

 当然、これも簡単ではなく、途中でパイロンを蹴飛ばしてしまうことも。それでも最後の最後に一度だけ達成できたのは、やはりポルシェドライビングコーチ様々です。1周つなげられたときの快感は格別なものがありました。