収穫から67日後も“採れたて” 新技術でサクランボの保存期間延長 ガスが実現する新たな可能性【山形発】

AI要約

山形酸素が開発した新技術により、サクランボの鮮度を67日間保持することが可能になった。新技術は、サクランボの収穫時のツヤとハリを維持し、通常の冷蔵保存では起きる色の変化やシワを防ぐ効果がある。

山形酸素が開発した新技術により、サクランボを長期保存することで、収穫後の賞味期間が延び、猛暑の影響で短くなった旬の楽しみをキープできるようになる可能性がある。

山形酸素の新技術は、短いサクランボの収穫期間に多くのメリットをもたらし、将来的には販路の拡大や国内外での展開にも期待が寄せられている。

収穫から67日後も“採れたて” 新技術でサクランボの保存期間延長 ガスが実現する新たな可能性【山形発】

山形酸素が開発した新技術により、サクランボの鮮度を67日間保持することが可能になった。通常の冷蔵保存では色が変わりシワができるサクランボも、新しい技術では収穫時のツヤとハリを維持。猛暑の影響でサクランボの生育が早まり、旬が短くなる中、長持ちさせるための新しい技術が注目を集めている。

新たな技術を開発したのは、家庭用や医療用などのガスを販売する山形酸素。9月3日に撮影したサクランボは、どちらも6月28日に収穫され、67日保存された紅秀峰だ。

山形酸素・酒井孝営業本部長に「こちらが通常の冷蔵保存したもの。こちらが我々の独自技術であるガスと一緒に67日冷蔵で保存したもの」と紹介されるも、2つを見比べるとその差は一目瞭然だ。

普通に冷蔵保存したものは色が黒く変色しシワシワになっている。一方、ガスと一緒に保存したものは、ツヤと表面のハリ具合もほぼ収穫した時と変わらない。

新しい技術で保存されていたサクランボをスタッフがいただいたが、採れたてとほぼ変わらない、甘みもしっかりある、食感もパリッとしていて67日経ったとは信じられない状態だった。

サクランボは収穫してからおいしく食べられる期間が短い果物。山形酸素では、新たなガスの活用法を探る中で、サクランボの長期保存に挑むことにした。

柏倉将光・新規プロジェクト担当部長は「詳しいことは申し上げられないがガスの作用が確実に働いている。温度管理・湿度管理と相まってもぎたてと変わらないおいしさを維持できている」と話す。

新規プロジェクトは2021年にスタート。2023年度からは県と慶応義塾大学先端生命科学研究所(鶴岡市)の協力を得て研究を進め、2023年時点の解析で「14日間保存しても採れたてと近い食味」であることがデータでも裏付けられた。

そして、この技術によって販路開拓の期待も高まっている。2024年6月にはガスと一緒に保存した「やまがた紅王」200粒をロンドンに空輸。収穫の4日後にダメージがほぼないまま現地に到着した。

柏倉将光・新規プロジェクト担当部長は「フルーツの卸業者・高級レストランのシェフに試食いただいて、味・食感・見た目・香りとも高評価を得た」とロンドンでの成果を話す。

気候変動によって収穫期間が大きく短くなるなど厳しい状況が続く中、県産サクランボをおいしい状態でより長く楽しめるようになるかもしれない。

山形酸素・島津康社長:

収穫から出荷までの期間を延長することで生産者の作業効率化や物流に展開するまでを計画的にできる、といった所で貢献できる。日本国内の遠方、海外諸国まで幅広く展開することで県産サクランボをさらに知らしめることができる。

山形酸素は今後、サクランボだけでなく、他の食品などでもガスによる長期保存に向け研究を進めていくという。

(さくらんぼテレビ)