ピレリ、電動車向け「ELECT(エレクト)」採用タイヤが500件を超える技術承認を取得

AI要約

ピレリはELECT技術採用タイヤのOE承認を500件以上取得したことを発表。BEVやPHEV向けに特別に設計され、航続距離の延長や充電コストの節約を実現。

ELECTタイヤは低転がり抵抗と高いグリップ性能により、摩耗が最大20%削減され、静粛性も最大20%向上。多くの主要製品で採用が進んでいる。

ピレリの最高技術責任者は、EVの特性に合わせてタイヤを開発する必要性を強調。最新の開発ツールを活用し、EVに適したタイヤを提供していると述べている。

ピレリ、電動車向け「ELECT(エレクト)」採用タイヤが500件を超える技術承認を取得

 ピレリは8月22日(現地時間)、BEV(バッテリ電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド)向けに開発された「ELECT(エレクト)」技術採用タイヤについて、2019年の発売以来、500件を超える技術承認(OE:Original Equipment)を取得したことを明らかにした。

 同技術を採用するタイヤのサイドウォールには「ELECT」のロゴがあしらわれ、これは瞬間的なトルク、バッテリによる重量増加、静粛な走行など、BEVやPHEVの特性を補完するために特別に開発されたタイヤであることを示す。今回の発表ではOE獲得数が500件を超えたとしており、プレミアムおよびプレステージカーメーカー10社中7社が、ELECT技術採用タイヤを選択していることになるという。

 ELECTタイヤのメリットとしては大きく2点。まず転がり抵抗が低いことから航続距離を最大50km延ばせる(SCORPION ELECTとSCORPIONの比較。フォルクスワーゲン「ID.4」で実施)としており、同社の試算では充電コストを年間最大150ユーロ節約できるという。また、革新的なコンパウンドによりグリップが向上し、電動モーターの高トルクに対応し、構造が強化されているためBEVの負荷に耐えることが挙げられる。

 この2つの要素により、タイヤの摩耗が最大20%削減(SCORPION ZERO ALL SEASON +3 ELECTとSCORPION ZERO ALL SEASON +3の比較)されるとともに、車内の静粛性も最大20%向上(SCORPION ELECTとSCORPIONの比較)できることがアナウンスされている。

 なお、ポルシェ「タイカン」のP ZEROでデビューしたELECTタイヤは、現在、ピレリの多くの主要製品で採用。P ZEROでは30%以上のサイズで展開され、これにSUV専用のSCORPIONシリーズ、セダン/CUV専用のCinturatoシリーズが続く。また、冬用タイヤで22%、オールシーズンタイヤで17%と採用数も増えており、冬季の性能を有しトレッドの厚みのあるタイヤでも騒音低減と転がり抵抗低減のメリットをもたらし、低温時の汎用性と安全性を高めているとした。

 今回の発表について、ピレリ最高技術責任者であるピエロ・ミザーニ氏は「電気自動車は従来の内燃機関車とは大きく異なり、特別なタイヤが必要です。大手自動車メーカーから取得した技術承認の数は、車両、タイヤ、季節性に適応できる技術を提供するという、当社が選択した道の妥当性を裏付けています。仮想化や人工知能などの最新の開発ツールの活用により、EVの技術要件と性能要件にますます適合した製品を設計できるようになっています」と述べている。