「究極の氷」に「マイナス1度の氷」 猛暑で注目!?“氷ビジネス”で新たな技術【WBSクロス】

AI要約

新潟・長岡市にあるサカタ製作所が開発した「単結晶氷」と、かき氷機「アイス・フレーク」について紹介。高品質な氷を生産し、かき氷の新しい食感を提供している。

高知・南国市の機械メーカー「コアテック」の開発した「スラリーアイス」が紹介される。氷を活用することで食品の鮮度を保ち、新しい物流の手法を提案している。

氷を利用したビジネスの可能性や需要の拡大、そして地元産品の鮮度維持において氷が果たす役割が探求されている。

「究極の氷」に「マイナス1度の氷」 猛暑で注目!?“氷ビジネス”で新たな技術【WBSクロス】

特集「WBSクロス」、今回のテーマは、氷ビジネス。暑い日が続くなか、様々な用途で「氷」を生かす新たな技術が生まれています。

新潟・長岡市にあるサカタ製作所。創業1951年、鉄やアルミなど金属の加工を得意とするメーカーです。そのサカタが地元の長岡技術科学大学と開発したのが「単結晶氷」という特殊な氷の製造装置です。

ゆっくりと凍らせて3日かけて作った濁りのない透明な氷で、普通の氷と比べるとその透明度は一目瞭然です。サカタ製作所の小林準一取締役は「空気に触れずに衛生的な環境で作られている“究極の氷”」と話します。

氷の小売り販売もしていて9個で1400円と強気の価格です。単結晶氷は味がすっきりまろやかになるということで、地元長岡のバーでも使われています。

そして究極の氷と合わせてサカタ製作所が力を入れているのが、かき氷機「アイス・フレーク」です。値段は150万円。創業期から磨いたカンナの製造技術を生かし開発しました。

「日本一薄くふわふわに削れる機械であることは間違いない」(小林取締役)

氷を押し付ける強さや回転速度を変えることで様々な食感のかき氷が作れます。

取材日にはサカタ製作所のスタッフによる試食会が行われていました。食べていたのはシロップに地元で採れた枝豆や、スイートコーンを使ったかき氷です。サカタ製作所では「新潟かき氷プロジェクト」を立ち上げて、新潟の技術と食材を全国にアピールしようとしているのです。

世界の製氷機の市場規模はおよそ3500億円。日本の夏が暑くなり、世界でも温暖化が進む中で、市場の伸びが期待されています。

「日本は年々暑くなって、灼熱列島になっている。氷ビジネスをしっかりと全国に広げていきたい」(小林取締役)

高知・南国市。ここにも氷でビジネスチャンスを狙う企業があります。環境技術を得意とする機械メーカーの「コアテック」です。同社の装置が生み出す氷が物流の常識を変えるといいます。

コアテックと高知工科大学が開発したのは、濃度1%の塩水で作る「スラリーアイス」。回転する刃で氷を削りながら、シャーベット状にしていきます。従来のスラリーアイスはマイナス3度ほどのものでしたが、コアテックの氷は「マイナス1度ということで凍るか凍らないかのギリギリの温度」(コアテックの川添真一郎さん)。マイナス1度だと活け締めと同じ状態になるといいます。

実際に生きているタイを通常の氷水と、このスラリーアイスに入れて比べてみると、氷水のタイはバタバタと動き回っていますが、スラリーアイスのタイはすぐに動かなくなりました。

「よりスピーディーに活け締め状態になるスラリーアイスの方が、味や外側の痛みもなく価値が出てくる」(川添さん)

神奈川・小田原市の港にある観光客に人気の「おさしみ天国・小田原海鮮ゴーゴー」。名物の刺身食べ放題でマイナス1度のスラリーアイスの特性が生かされています。1年前から配送にスラリーアイスを使い始めたことで、夏場でも新鮮なまま提供できるようになりました。

コアテックでは、このスラリーアイスを魚以外にも使おうとしています。7月、コアテックの社員がやってきたのは地元のメロン農家です。高級メロンの物流網でもスラリーアイスを使えないかと考えたのです。

訪れた農家では通常、輸送期間などを逆算して完熟して一番美味しくなる1週間前に収穫しています。そこで完熟メロンをスラリーアイスで冷やしてみました。スラリーアイスで鮮度を保てれば、完熟で収穫し、美味しい完熟のまま食卓に届けられるという目論見です。

「鮮度はすごくいいし、見た目の色艶も問題はない。今の状態だと商品価値は十分ある」(西島園芸団地の澤村潤さん)

既に食肉を取り扱う業者などから引き合いも来ているといいます。

「冷蔵でもない、冷凍でもない新たな分野として物流の新たな道を開ければと思う」(川添さん)

※ワールドビジネスサテライト