「日本産白桃のショートケーキ」が飛ぶように売れる…甘いもの大好きな外国人が「シャトレーゼの味」を推すワケ

AI要約

シャトレーゼは2024年に1000店舗を超えるほど成長し、海外展開も注目されている。その成功の秘密は日本クオリティを海外に届けるファーム・ファクトリーという製造、物流システムにある。

海外店舗では日本と同様の製造方法を採用し、品質を維持しつつ価格も抑えている。特にアジア各国では人気が高まり、店舗数も増加している。

商品の輸送は船便と航空便を使い分け、ケーキの台を冷凍の状態で運び、果物を冷蔵して空輸するなど細やかな配慮がされている。

菓子大手のシャトレーゼは2024年、国内外を合わせて店舗数が1000店舗を超えた。中でも海外店舗の事業拡大が著しい。なぜ外国人は日本のスイーツが好きなのか。ノンフィクション作家の野地秩嘉さんがシャトレーゼ・バンコク店を取材した――。

■“日本クオリティ”をどうやって海外に届けているのか

 山梨県の甲府市に本社、工場を持つシャトレーゼは主力商品の和洋菓子の製造販売に加えてワイナリー、ホテル、ゴルフなどの運営事業を行っている。グループの従業員数は4200人で売上高は1484億円。海外進出している店舗の売り上げも入っている。[連結対象:菓子(国内外)、ワイナリー2、ホテル11、ゴルフ場20=2024年3月期]

 同グループ菓子部門の成長に力を発揮しているのが「ファーム・ファクトリー」という製造、物流、販売のシステムだ。生菓子は日持ちがしないため、通常であれば店鋪のなかで製造する。それに対してシャトレーゼは工場で作る。まず工場が契約している農場から牛乳、乳製品、果実などの素材を調達し、製造する。

 できあがった商品は専用便で各店舗に配達し販売。工場で大量生産しているため、価格を抑えることができる。物流は専用トラックなので、作りたてを素早く国内の店舗に配送できる。しかも、2024年には海外店舗を合わせて1000店舗を超えた。ここまで大きな生菓子の製造販売チェーンはシャトレーゼだけだ。

 さて、ここからが本題だが、海外の店舗でも、シャトレーゼはファーム・ファクトリーを上手に援用した製造、物流システムを構築した。そのため、商品の質を落とすことなく、しかも、日本で売る場合とあまり変わらない価格で販売している。

■ケーキ台は冷凍、果物は冷蔵してアジア各国へ

 現在、シャトレーゼが海外に展開している店舗数は計177店舗(2024年6月末時点)だ。

 国別では次の通り。

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香港 62

シンガポール 42

インドネシア 41

マレーシア 21

タイ 4

ベトナム 4

UAE 3

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 わたしはシンガポールでも現地取材したがシャトレーゼは同国内でナンバーワンの店舗数を誇るスイーツ・チェーンになっていた。他のアジア地域でいえば、香港が店舗数が最大で、現在、もっとも伸びているのが人口2億7000万人の国、インドネシアとのこと。

 前述の通り、海外店舗への輸送はファーム・ファクトリーシステムを応用している。具体的には船便と航空便の使い分けだ。

 ケーキの台の部分、つまりスポンジケーキと生クリームは瞬間冷凍したものを船便で運ぶ。日本からインドネシア、ベトナム、タイで約10日間、シンガポールなら1週間といったところである。台の上に載せる日本産の果物は冷蔵にして飛行機で運ぶ。

 店舗ではケーキの台の部分は解凍する。そして、空輸した新鮮な果物をその上に載せる。果物は季節によって変わっていく。春はイチゴ、夏であれば白桃、秋になればシャインマスカットなどのぶどうだ。