イケイケ本部長が強要する「高すぎる売上ノルマ」「自爆営業」に耐えかねて…35歳課長が反撃に使った「奥の手」

AI要約

営業の仕事に従事する際、上司から課される売上目標が実現不可能な場合、パワーハラスメントに該当する可能性がある。

事例を通じて、パワーハラスメントの種類や影響について解説されている。

パワーハラスメントの判断は事例ごとに複雑であり、明確な基準がないため判断が難しい場合もある。

イケイケ本部長が強要する「高すぎる売上ノルマ」「自爆営業」に耐えかねて…35歳課長が反撃に使った「奥の手」

営業の仕事に従事するさい、上司から売上目標を課されることは少なくない。しかし、その目標数値があまりに実現不可能で、かつ「絶対達成」を命じられた場合、ハラスメントにはあたらないのだろうか。

前編記事〈イケイケ新任営業本部長が「実現不可能な売上高ノルマ」を強要…35歳課長が青ざめた未達成の部下への「衝撃の仕打ち」〉では、首都圏で高級輸入食品の卸売販売業を営む甲社(従業員数100名)の食品担当営業課長・A谷さん(35歳)の事例を紹介した。

大病を患い療養中の甲社長(75歳)の後継者候補として、もともと他社のトップセールスマンだったB山さん(45歳)が営業本部長に就任。月の売上高目標値を一気に2倍にする、営業実績が悪い課員には自社商品を何万円も購入させる「自爆営業」を強要……。これらの横暴な振る舞いに、A山さんもさすがに我慢の限界に達し、本部長と直談判することを決意したのだが……。

この事例をもとに、B山本部長の言動の一つひとつがどのようなハラスメントにあたるのか、意外と知らない「目標」と「ノルマ」の違いなど、社会保険労務士の木村政美氏が解説する。

数あるハラスメントのうち、組織内において、優位な権力関係をもとに業務の適正な範囲を超えて肉体的・精神的な苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為のことをパワーハラスメント(パワハラ)という。パワハラの種類は大きく分けると6つに分類される。

(1)殴る、蹴るなど相手の身体に危害を与える行為(身体的な攻撃)

(2)脅し、暴言、侮辱、名誉を棄損する発言などによって、相手に精神的なダメージを与える行為(精神的な攻撃)

(3)隔離・無視・仲間外れなど対象者を孤立させる行為(人間関係の切り離し)

(4)明らかに期日までに達成不可能な仕事や、残業・休日出勤など長時間労働しない限り完遂できない仕事などを指示し、できないと叱責する行為(過大な要求)

(5)気に入らない相手に対して、その能力や経験とかけ離れた軽易な仕事を命じたり、仕事を与えなかったりする行為(過小な要求)

なお、会社の業務上やむをえず上記を行った場合は、過小な要求とはされないケースもある。

(6)社員のプライバシーを詮索したりするなどの行為(個の侵害)

パワハラは、事例ごとに経緯や行為の背景などを踏まえて判断されるので、セクハラと違い明確な判断基準がない。そのためパワハラの可否について決定をするのが難しい事例も多い。