国際経済会議に日銀の植田和男総裁は欠席 閉会中審査の優先強いる国会運営に苦言相次ぐ

AI要約

米国で22日夜(日本時間23日朝)、各国の中央銀行幹部が集う経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が開幕した。日銀の植田和男総裁は国会出席を優先するため欠席し、有識者からの苦言が相次いでいる。

日本銀行法に基づき、国会出席を優先する原則があると指摘されており、日銀総裁の国会への出席頻度の問題も浮上している。

ジャクソンホール会議は重要な国際会議であり、国際的な経済問題について議論される場である。植田総裁の欠席が日本の金融システムの閉鎖性を感じさせ、市場に影響を与えている。

国際経済会議に日銀の植田和男総裁は欠席 閉会中審査の優先強いる国会運営に苦言相次ぐ

米国で22日夜(日本時間23日朝)、各国の中央銀行幹部が集う経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が開幕した。安値が続いた円相場が転換点に差し掛かろうとする中で開かれる重要な国際経済会議だが、日銀の植田和男総裁は23日に開かれた衆参両院の閉会中審査に出席するため同会議を欠席した。閣僚が国会日程に拘束され、重要な国際会議に出られない現状が問題視される中、日銀総裁にも国会出席を優先させる今回の国会運営に対し、有識者からは苦言が相次いでいる。

■日銀法改正の必要性主張も

日本銀行法では総裁らが国会の求めに応じて出席し、日銀の政策や業務運営について説明することが定められている。国会会期中に重要な国際会議があっても、国会出席を優先することが原則となっている。

野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「ジャクソンホール会議は注目度が高いひとつの意見交換会の側面が強く、先進7カ国(G7)などの国際会議に比べて重要度が低いと国会側に判断された可能性もある」と指摘した。

木内氏は、米連邦準備制度理事会(FRB)議長が米国の連邦議会で年2回証言を行うことに比べ、日銀総裁が日本の国会に呼ばれる頻度が多いことを問題視。「日銀総裁の国会対応の大半は野党からの政府批判に対する内容で、本当に中身のある議論ができているのか疑問だ」と述べ、日銀総裁の負担軽減に向けた日銀法改正の必要性を主張する。

また、アゴラ研究所の池田信夫所長はX(旧ツイッター)で、「植田総裁は株暴落の国会説明で、ジャクソンホールに欠席。優先順位が違うんじゃないの」とツイート。名古屋商科大ビジネススクールの大槻奈那教授(金融システム論)も「市場変節への対応としてやむを得ないとしても、日本の金融システムの閉鎖性を感じざるを得ない展開です」と植田総裁の同会議への欠席に苦言を呈している。

■会議を機に株価上昇も

ジャクソンホール会議は米カンザスシティー連邦準備銀行が主催し、1978年から毎年8月下旬に開催している国際会議だ。ジャクソンホールはワイオミング州北西部に位置する景勝地の名称で、ホールの英語表記はHole(穴)となる。開催地が山々に囲まれて穴のように見えることが由来となっており、会場(Hall)ではない。

世界各国から中央銀行総裁や政治家、経済学者、評論家が一堂に会してさまざまな経済問題について話し合う貴重な機会で、昨年は植田総裁がパウエル議長と欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁と一緒に対談している。