メキシコがサムライ債準備、日銀利上げ後も低利回りの円市場に復帰へ

AI要約

メキシコが2年ぶりにサムライ債を発行する計画だ。政策金利の引き上げや金融市場のボラティリティーが安定した状況下での起債となる。メキシコのドル建て債スプレッドが縮小している中で、日本市場へのアクセスを続けたい考え。

日本銀行が7月に追加利上げした後も日本の国債利回りは低水準。メキシコは3年から20年までの6年限でのサムライ債を検討しており、アクセス維持のために日本市場への関心が高い。

メキシコは調達した資金を国連の持続可能な開発目標(SDGs)に関連したプロジェクトに使用する予定。世界的なインフレの緩和や米国の10年物国債利回りの高水準と比較して、日本市場でのサムライ債の発行は戦略的な選択となる。

メキシコがサムライ債準備、日銀利上げ後も低利回りの円市場に復帰へ

(ブルームバーグ): メキシコが2年ぶりにサムライ債を発行する計画だ。日本銀行が7月に追加利上げを決めた後も日本の国債利回りは比較的低い水準にとどまっている。

事情に詳しい関係者によると、メキシコは3年から20年までの6年限での起債を検討している。ヨリオ財務次官は今年初め、同国政府が2024年下期にサムライ債を発行することを検討しているとインタビューで明らかにしていた。

22年8月以来となるメキシコのサムライ債は、スロベニアによる発行計画に続くものだ。日銀が今年大規模な金融緩和策を打ち切って政策金利を2度引き上げ、エコノミストらがさらなる利上げの可能性もあるとみる中でも、円での借り入れコストが海外発行体を引きつけるのに十分なほど低いままであることを示唆する。

メキシコの起債は24年のサムライ債発行実績を押し上げる可能性がある。ブルームバーグがまとめたデータによると、年初来の発行額は前年同期比で22.5%減少している。

主幹事の1社である大和証券によると、メキシコは日本市場へのアクセスを続けたい考えだ。日銀の利上げや米経済の減速懸念で高まった金融市場のボラティリティーが足元で安定し、一時拡大したメキシコのドル建て債スプレッド(上乗せ金利)がタイト化している中でサムライ債の起債を決めたと話した。

ブルームバーグが集計したデータによると、メキシコはおよそ2年おきにサムライ債を発行している。2年前に発行した中で最長年限だった42年満期のサムライ債は、インフレ加速により世界各地の中央銀行が利上げに踏み切ったため、利回りが発行当時の約2.5%から約3.57%に上昇した。

足元では世界的にインフレが緩やかになり、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が強まっている。それでも米国の10年物国債利回りは約3.87%と、日本国債の0.885%をなお大幅に上回る。

主幹事のみずほ証券によると、メキシコは調達した資金を国連の持続可能な開発目標(SDGs)に関連したプロジェクトに使用する予定だという。

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