フィットネス業界の倒産ラッシュが止まらない…その中でチョコザップだけが「ジムの大きな弱点」を克服できたワケ

AI要約

フィットネス業界は淘汰の時代に入り、コロナ禍で資金が底をつく事業者が相次いでいる。

大手クラブは再入会を果たすことで安定を図る一方、小規模事業者は資金難から撤退を余儀なくされている。

ライザップは赤字を出した後、チョコザップを展開し黒字化を果たすなど、起死回生の一手を打ち続けている。

■復会する前に資金が底を尽く事業者が相次ぐ

 フィットネス業界は、淘汰の時代を迎えています。東京商工リサーチの調査によると、2023年度(2024年2月までの実績値)のフィットネスクラブの倒産件数は28件に達し、2022年度の16件から大幅に増加しています。

 経営悪化の背景には、コロナ禍での会員数減少が要因のひとつとして挙げられることは明白ですが、これを乗り越え生き残っている企業も少なくありません。

 コナミスポーツやセントラルスポーツなど、業界の約7割を占める大手クラブは店舗型のジムを展開して資金力があることから、コロナ禍前に在籍していた会員の再入会を果たすことができれば、経営を立て直し安定させることは可能です。

 一方、パーソナルジムを中心とした小規模事業者は、資金力が乏しいことから、会員の再入会を果たす前に資金が底をつき、運転資金さえも捻出できずに市場からの撤退を余儀なくされています。実際、昨年度倒産した28件のほとんどが、資本金1億円以下の小規模事業者でした。

 しかし、こうした状況下でも、経営の黒字化に向け自社を成長軌道に乗せることに成功している事業者も存在します。中でも、パーソナルジムを展開するRIZAPグループ(ライザップ)は、無人小型トレーニング店である「chocoZAP(チョコザップ)」を展開して快進撃を続けています。

■大赤字を出したライザップの起死回生の一手だった

 ライザップは、健康食品などの通信販売を生業とする健康コーポレーションを起源として2003年に設立され、フィットネスクラブの1号店を2012年にオープンさせています。

 「結果にコミットする」をキャッチフレーズに、2~3カ月で飛躍的な体型改善と体重減を目指すトレーニング手法(コミット型プログラム)により、既存のパーソナルジムとの差別化を図ることで急成長を遂げ事業規模の拡大を果たしてきました。

 しかし、ライザップもコロナ禍では例外に漏れず業績を落とし、2022年には127億円の大幅な赤字を計上することになります。こうした赤字を解消し黒字化に向けた起死回生の一手として繰り出した打ち手こそがチョコザップなのです。

 ライザップは、チョコザップを、「町のサブスクのような存在」にすることを目指しているといいます。着替えや靴の履き替えをすることなく運動ができ、24時間365日の利用が可能であることを売りにしています。

 チョコザップの会員数は、2022年7月のサービス開始以来、右肩上がりに推移し、2024年5月には120万人超の達成を見込む(ライザップ2024年3月期決算説明会資料)まで増加し続けています。

 これに伴い店舗数は全国で1500店舗に到達し、営業損益では、当初18カ月目での黒字化を目指すことを予定していましたが、14カ月目での黒字化を果たし、回収期間の前倒しにも成功しています。