老後貧乏になってしまう原因3選と老後を豊かにする工夫とは

AI要約

日本の総人口数や高齢者比率についての最新データが示されている。

老後に備えて貯蓄する人が多いが、老後貧乏に陥る原因として介護費用、子や孫への支援、生活水準の維持が挙げられている。

老後貧乏を避けるためには、介護や子供への援助に備える、生活水準を見直すなどの工夫が必要である。

老後貧乏になってしまう原因3選と老後を豊かにする工夫とは

総務省統計局の「人口推計」によれば、7月1日現在の日本の総人口数は1億2396万人で、うち65歳以上の高齢者は3626万人と、全体の約30%を占めています。

退職後も再雇用されて働くシニアも増え、現代のシニア世代は働きながら年金を受給している人も多いことでしょう。一方、65歳以上になっても働いて収入を確保しなければならないほど、老後は生活に困ることがあるのでしょうか。

せっかくなら老後も楽しみながら暮らしたいもの。老後に向けてつくった資産を失ってしまっては元も子もありません。

今回は、老後に向けて貯蓄をしている人のデータ、そして老後貧乏になってしまう原因を解説していきます。

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でははじめに、明治安田生命が実施した家計に関するアンケート調査から貯蓄に関する意識を見ていきましょう。

<調査概要>

 ・調査対象:20~79歳の男女

 ・調査エリア:全国

 ・調査期間:2024年3月19日(火)~25日(月)

 ・調査方法:インターネット調査

 ・有効回答者数:1620人

調査によると、貯蓄の目的1位は「老後のため」で63.5%となりました。

次いで、「いざという時のため」が54.4%となり、多くの人が漠然とした不安を感じていることから貯蓄を始めているようです。

同調査では9割以上の人が「物価高の影響を実感している」と回答しており、先行き不透明な日本の未来を案じている様子がうかがえます。

物価上昇や少子高齢化が進む日本で、老後貧乏に陥ってしまうのはどのような原因が考えられるでしょうか。

ここからは、老後貧乏になってしまう原因として考えられるものを3点解説します。

●老後貧乏になってしまう原因(1):介護状態による継続的な出費

働いている間は意外と気付かないものですが、万が一けがや病気などで健康を損なってしまった場合に介護にかかる費用負担が大きくなります。

生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」から、介護にかかる一次的な費用の合計と月々の費用の合計の平均をそれぞれ見ていきましょう。

介護にかかる一時的な費用、例えば住宅改造や介護用ベッドの購入などの費用は平均していくらほど必要になるのでしょうか。

<介護費用の一時的な費用の合計推移>

 ・2009年:86万円

 ・2012年:91万円

 ・2015年:80万円

 ・2018年:69万円

 ・2021年:74万円

年々減少傾向にありますが、2021年では平均は74万円となっています。

2024年度の国民年金の満額は6万8000円ですが、国民年金およそ1年分にも届きそうなほどの費用がかかるということです。

また、介護サービスを受けることになった場合、必要なのは一時金だけでなく毎月の利用料金です。

介護費用の月額はどれくらいかかるのでしょうか。

<介護費用の月額推移>

 ・2009年:7万3000円

 ・2012年:7万7000円

 ・2015年:7万9000円

 ・2018年:7万8000円

 ・2021年:8万3000円

こちらは年々増加傾向にあり、月額は国民年金の満額を超えています。

これに加えて月々の生活費などを考慮すると、生活が一気に苦しくなってしまうという方もいるかもしれません。

●老後貧乏になってしまう原因(2):子や孫への資金援助

2つ目に考えられる原因として、子や孫への多額の援助が挙げられます。

孫や子に対しては、ついつい財布のひもが緩んでしまう方も多いのではないでしょうか。一方で、お小遣いやお年玉、一緒に外出した際の食事代など、子や孫にかかる出費は意外と無視できないものです。

なかには孫の教育費を援助する人もいるでしょう。

また、現役時代、子にかかる教育費を思うように貯められておらず、想像以上に出費が嵩んだ結果、老後に向けた貯蓄ができなかったという方もいるかもしれません。

幼稚園から高校まで全て私立に通った場合と公立に通った場合の教育費にどれほどの差があるのか、文科省の調査結果から見ていきましょう。

文部科学省が2022年に公開した「令和3年度 子供の学習費調査」から差額をみていきます。 

<学校種別学習費総額の推移>

 ・幼稚園(公立・私立):16万5126円・30万8909円

 ・小学校(公立・私立):35万2566円・166万6949円

 ・中学校(公立・私立):53万8799円・143万6353円

 ・高等学校(公立・私立):51万2971円・105万4444円

大学に進学する場合にも国立と私立で大きく金額差があるため、さらに教育資金の差が広がる可能性があります。

大学の学費が足りない場合には奨学金制度がありますが、学生のうちから借金を抱えることになるため、子に負担をかけたくないと考える親も多いでしょう。

子や孫にかかる費用については、老後を迎える前に話し合っておくことをおすすめします。

●老後貧乏になってしまう原因(3):現役時代の生活水準を下げられない

核家族化が進み、夫婦が共働きということも珍しくない現代の日本。

夫婦が共働きの場合、収入は期待できますが、家事や育児などで人手不足を感じることもあるでしょう。

こういった際に便利なのが、高機能な家電や家事代行サービス、外食です。

これらのサポートは日々の生活が楽になる反面、使い続けると費用がかさみます。定年退職後も現役時代の生活水準を下げられなかった結果、老後に十分な資産が残らず、老後貧乏に陥る可能性があります。

一度手にした快適さを手放すのは難しいですが、老後に必要な生活費を試算して、不足があるなら節約を心がけましょう。

次章からは老後貧乏にならないための工夫について解説します。