日本人が意外と知らない「富士山噴火の深刻すぎる被害」、そのとき具体的に何が起こるのか

AI要約

東日本大震災を経て、日本では自然災害に対する危機感が高まっている。南海トラフ巨大地震の注意も受けている中、富士山噴火の影響も警戒されている。

富士山周辺の防災対策が2000年から進められており、2021年に改定されたハザードマップによると、溶岩流が到達する可能性のある地域や避難対象者数が増加している。

火山灰の影響についても懸念され、交通機関や通信インフラにも大きな影響が出る可能性がある。

日本人が意外と知らない「富士山噴火の深刻すぎる被害」、そのとき具体的に何が起こるのか

2011年3月11日、戦後最大の自然災害となる東日本大震災が発生した。あれから13年、令和6年能登半島地震をはじめ何度も震災が起きている。さらには先日、南海トラフ「巨大地震注意」が発表され、大災害への危機感が増している。

もはや誰もが大地震から逃れられない時代、11刷ベストセラーの話題書『首都防衛』では、知らなかったでは絶対にすまされない「最悪の被害想定」が描かれ、また、防災に必要なデータ・対策が1冊にまとまっている。

(※本記事は宮地美陽子『首都防衛』から抜粋・編集したものです)

自然災害大国ニッポンでは、巨大地震に加え富士山噴火がいつ起こるのかも警戒されている。

そもそも、富士山が噴火したら何が起こるのか、ご存知だろうか。

〈富士山の防災対策は2000年から本格的に検討されてきた。富士山直下で低周波地震が多発したのがきっかけで、2001年7月に国と関係自治体が「富士山火山防災協議会」を設置。2004年から富士山周辺の住民にハザードマップが配布されている。

2021年3月に17年ぶりに改定されたハザードマップのポイントは、市街地に近い場所に過去の火口が複数認定されたこと、富士山北麓の青木ヶ原溶岩流を作ったマグマの体積が当初は「宝永噴火」と同程度だと見られていたが、この溶岩流を噴出した「貞観噴火」(864~866年)は2倍近くの13億立方メートルだったことがわかった点にある。〉(『首都防衛』より)

溶岩流の流出量が増えると、流下する距離が長く、速度も速くなることが考えられる。

その被害はどの地域まで広がっていくのだろうか。

〈火口ができる場所にもよるが、山梨・富士吉田市や静岡・富士宮市などでは噴火から2時間程度で溶岩流が到達する可能性があり、静岡・裾野市などでは12時間後には到達の可能性がある。溶岩流が3時間以内に到達する可能性がある範囲の避難対象者は、前回のハザードマップの約1万6000人から11万6000人と7倍になった。

2023年3月に静岡、山梨、神奈川3県などが策定した避難計画によると、避難対象地域や早期避難対象者数は拡大している。宝永噴火と同等の爆発的噴火が起こった場合、火山灰は、富士山周辺で最大数メートル以上と想定され、静岡・御殿場市50センチ以上、神奈川県中部10~30センチ、東京都心でも2~10センチが降り積もる。

降灰の影響と対策を検討する内閣府のワーキンググループによると、首都圏への影響が最大となるケースでは除去が必要となる火山灰の量は、東日本大震災の際の瓦礫の10倍にあたる4.9億立方メートル。

降雨の場合、3センチほど積もると、二輪駆動車は走行が難しくなり、10センチ以上だと四輪駆動車でも動けなくなる。降灰中は視界不良などによって走行不能になる。鉄道のレールに0.5ミリ以上火山灰が積もると、鉄道は運行停止を余儀なくされ、飛行機は微量でもエンジン内に火山灰を吸い込むと重大なトラブルが発生するおそれがあるため空港が閉鎖。降雨があれば火山灰は導電性を帯び、停電が発生し、火山灰がアンテナに付着すれば通信障害も発生する。〉(『首都防衛』より)

東京でも火山灰が積もり、交通網にも大きな影響が出る。

そのことを想像できているだろうか。

今回見たように、富士山噴火は恐ろしい。

だが、最も危険なシナリオは「地震」と「噴火」の連動であることを忘れてはならない。

つづく「『まさか死んでないよな…』ある日突然、日本人を襲う大災害『最悪のシミュレーション』」では、日本でかなりの確率で起こり得る「恐怖の大連動」の全容を具体的なケース・シミュレーションで描き出している。