じつは、表面的な現象だけで分類していた「噴火様式」…なんと、噴泉するマグマを「観光客が至近距離から見学」した、仰天の火山があった

AI要約

新たな火山島の出現には研究の宝庫があり、地球のダイナミズムを知ることができる。

島の噴火様式には幾つかの種類があり、それぞれ特徴や名前がある。

ストロンボリ式噴火は断続的な爆発でマグマを噴き上げ、古くから観察されている。

ストロンボリ式噴火はマグマの破片が飛散してスコリア丘を形成し、円錐状の山体ができる。

この種類の噴火は西之島や大室山、米塚などで見られる。

火山噴火の様式は、表面現象から観測者名や火山名を使って分類されるが、中間的な性質の噴火もある。

分類方法は便宜的であり、火山ごとに異なる噴火様式を示すことがある。

じつは、表面的な現象だけで分類していた「噴火様式」…なんと、噴泉するマグマを「観光客が至近距離から見学」した、仰天の火山があった

新たな火山島の出現は、島を知り地球を知る研究材料の宝庫。できたての島でなくては見ることのできない事象や、そこから伝わってくる地球のダイナミズムがあります。そして、地球に生まれた島は、どのような生涯をたどるのか、新たな疑問や期待も感じさせられます。

今まさに活動中の西之島をはじめ、多くの島の上陸調査も行ってきた著者が、国内外の特徴的な島について噴火や成長の過程での地質現象を詳しく解説した書籍『島はどうしてできるのか』が、大きな注目を集めています。

今回は、これまでの一連の記事をはじめ、火山活動に関する記述でしばしば現れる「噴火様式」について、整理してみたいと思います。

※この記事は、『島はどうしてできるのか』の内容を再構成・再編集してお届けします。

火山噴火の様式は、噴煙高度や爆発性などの表面現象をもとに、その噴火様式が典型的に観測される火山名や観測者名を用いて分類されてきた経緯がある。このような博物学的な分類方法は古くからあり、噴火の特徴を直感的に理解しやすいため、現在でも一般によく用いられている。

ただしこの分類はあくまで便宜的なもので、その火山でその噴火様式しか見られないわけではないし、中間的な性質の噴火も存在する点には注意する必要がある。

噴火のしくみついて、これから解説していきたいと思うが、まずは、以下にあげる代表的な噴火様式について、その特徴を整理しておこう。

溶岩の溢れ出すタイプハワイ式ストロンボリ式爆発的噴火のタイププリニー式ブルカノ式

飛び散った花火の火花が放物線を描いて落下する様子を見ているかのように夜空を彩る噴火様式である。数十秒から数時間程度の間隔で爆発を繰り返し、赤熱したマグマの飛沫を断続的に噴き上げる。

このようなタイプの噴火を「ストロンボリ式(ストロンボリアン)噴火」と呼ぶ。地中海の灯台と呼ばれるイタリアのストロンボリ火山の典型的な噴火様式で、古くから人々の身近で観察されてきたことに由来する名前だ。断続的な噴火が月単位、年単位で繰り返される。

玄武岩から安山岩質の比較的低粘性のマグマにより発生し、爆発的噴火の中でも強度の弱い噴火に分類される。噴煙高度はふつう数kmよりも低いが、無数のマグマの破片が弾道を描き飛散し、火口近傍に火山砕物(スコリア)を堆積する。結果としてスコリアは円錐状に積み上がり、スコリア丘を形成することが多い。

西之島で2013~2014年頃に島が成長しているときの噴火ではこのストロンボリ式噴火が起き、島の中央に標高100mを超えるスコリア丘が形成された。伊豆の大室山(おおむろやま)や阿蘇の米塚(こめづか)も対称性が高い円錐形状の山体で、このタイプの噴火で形成された。