乱高下相場だからこそ知っておきたい「債券投資」の仕組み 満期まで保有か、途中売却か、2つの出口戦略

AI要約

株価の乱高下の中で、債券は資産を守る役割を果たす。債券価格の変動や債券投資での税金について解説。

債券投資の基本について解説。債券は借用証書であり、満期まで保有すれば利息を得ることができる。

市場金利と債券価格の逆相関関係について詳細に説明。出口戦略も紹介。

乱高下相場だからこそ知っておきたい「債券投資」の仕組み 満期まで保有か、途中売却か、2つの出口戦略

 株価が大幅に乱高下する中で、債券は資産を守る役割を持つ。債券価格はどう変動し、債券投資で得た利益の税金はどうなるのか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第104回は、「債券投資」について。

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 コロナ禍以降、おおむね株式市場が堅調で、外国株も日本株も高値を更新するような勢いだったため、資産運用を株式だけに頼っていた人も多いかもしれません。株式市場が沸き立つときは、債券がブレーキのように感じますが、ここ最近のように株式が暴落しているときは、債券が緩衝材の役目を果たします。そこで、債券投資の基本について解説します。

 債券は、借用証書の一種で、投資家が債券を購入することは、発行体(政府や企業)にお金を貸すことを意味します。

 債券には、額面(債券の元本額)と、利率(年間の利子率)と、満期日(発行体が元本を返済する日)が決まっています。そのため、満期まで持ち続け、その間に発行体が潰れなければ、元本割れすることなく利子分の利益が得られます。ただし外国債券の場合は、為替リスクがありますので、両替のタイミングで損失が出ることもあります。

 債券は、発行時に額面で購入し、満期日に額面で償還されますので、入り口と出口の債券価格は同じです。ただし、その途中では、債券価格は変動しており、満期まで保有せずとも途中売却が可能です。

 すでに発行された債券(既発債)は、市場金利が上昇すれば価格が低下し、市場金利が下落すれば価格は上昇します。つまり債券価格と金利は一方が上がれば、もう一方は下がるといった、シーソーの関係です。このしくみについて、簡単に説明しますね。

 2%の利子がつく既発債(すでに発行された債券)があります。市場金利が1%に下がれば、これから発行される新発債の利率は1%以下になりますので、2%の利子が約束されている既発債は魅力的です。2%の利子がつく既発債の需要は高く、額面より高くても需要があるため債券価格が上昇します。

 逆に、市場金利が3%に上がれば、2%しか利子がつかない既発債より、3%の利子がつく新発債を買ったほうがいいので、既発債の需要は低下します。そのため既発債の債券価格は下落するのです。

 よって債券投資の出口は、2通りあります。

 ひとつは、満期まで保有すること。この場合は、利益(額面価格+受け取り利子)がほぼ正確に計算できます。もうひとつは途中で売却することです。市場金利が低下して、債券価格が上昇したときに、値上がり益を取ります。