義母の介護を3年間していたけれど、遺産「3200万円」は一切もらえない!? 夫の母の遺産でも受け取れる「特別寄与料」とは? 対象者や受け取れる金額を解説

AI要約

特別寄与料制度は、介護や看病などに貢献した親族が相続人に金銭を請求できる制度である。

寄与度や要件を満たすことで金額が決定され、請求期間も定められている。

介護報酬日額や介護日数などを考慮して特別寄与料の金額を算出し、早めの請求が重要である。

義母の介護を3年間していたけれど、遺産「3200万円」は一切もらえない!? 夫の母の遺産でも受け取れる「特別寄与料」とは? 対象者や受け取れる金額を解説

かつては義理の親の介護などにいくら貢献しても、義理の娘・息子では相続人となることはできませんでした。しかし民法の改正により、要件を満たすことで相続人に対して「特別寄与料」の請求が認められるようになりました。

本記事では、義理の親の遺産でも請求できる「特別寄与料」について、対象となる人の要件や受け取れる金額などを解説します。

「特別寄与制度」は、2018年の民法改正で新しく設けられ、2019年7月1日以降の相続から施行されました。この制度により、介護や看病などに貢献した一定範囲内の親族であれば、寄与度に応じた「特別寄与料」の請求が認められるようになりました。

特別寄与料とは、相続権のない親族が被相続人(亡くなった人)の介護や看護などに貢献した場合に、相続人(遺産を相続した人)に対して請求できる金銭です。特別寄与料を受け取るためには次の要件を満たしている必要があります。

・事業の従事や介護など「労務の提供」があること

・労務の提供を「無償で」していたこと

・財産の維持や増加に寄与したこと

・被相続人の「6親等内の血族」または「3親等内の姻族」であること

・内縁関係ではないこと

特別寄与制度の対象となる「6親等内の血族」または「3親等内の姻族」とは図表1の通りです。

図表1

厚生労働省 6親等内の血族

特別寄与料を請求するには、労務を「無償で」提供したことにより、被相続人の財産を「維持したり増加させたり」したことが認められる必要があります。

特別寄与料として請求できる金額は、明確な相場が決まっておらず、寄与の時期や方法、相続財産の額など、さまざまな事情を考慮して定められます。

そのため、請求できる金額は一概には言えませんが、「提供した労務に従事した場合の金額」を目安として考えられることが多いため、介護報酬の基準額などを参考にしてください。

今回は「介護報酬日額5000円」「介護日数1000日(約2年9ヶ月)」「裁量割合0.7」の場合で、特別寄与料の金額をシミュレーションしてみましょう。

特別寄与料の計算式は「介護報酬日額×介護日数×裁量割合」なので、式に当てはめると「5000円×1000日×0.7=350万円」となり、350万円を請求できる計算になりました。

なお、特別寄与料には、「相続の開始を知った時から6ヶ月」という請求期間があり、この期間を過ぎてしまうと請求権が消滅してしまうため、特別寄与料は早めに請求するようにしましょう。