紅海ルート遮断で日本の大手海運会社に大打撃 ハマス「ハニヤ氏殺害」はどのような影響を与えるのか?

AI要約

2023年10月に中東で戦闘が激化し、日本企業は紅海ルートから喜望峰ルートに変更を余儀なくされ、海上貿易に大きな影響が出ている。

中東紛争は拡大傾向にあり、長期化が避けられず、最近の攻防でさらなる緊迫化が懸念される。

イラン支援のシーア派武装勢力が紛争に加担し、中東全体に影響を及ぼしている。

紅海ルート遮断で日本の大手海運会社に大打撃 ハマス「ハニヤ氏殺害」はどのような影響を与えるのか?

 2023年10月に中東で戦闘が激化して以降、大手海運会社や自動車部品メーカーなど紅海ルートに依存してきた日本企業は大きな変化を余儀なくされている。

 イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム主義組織ハマスとの戦闘が激化し、レバノンやイエメン、シリアやイラクを拠点とする親イランのシーア派武装勢力がハマスとの共闘を宣言し、反イスラエル、反米闘争をエスカレートさせている。

 特に、イエメンを拠点としてイランから支援を受けるフーシ派は、紅海を航行する外国船舶への攻撃に拍車を掛け、

・日本郵船

・商船三井

・川崎汽船

など大手海運会社は紅海ルートを諦め、喜望峰ルートへの変更を余儀なくされ、それが今日でも続いている。

 船の種類や天候などによって変わってくるものの、紅海ルートから喜望峰ルートに変わることで航海日数は片道で2週間、往復で4週間ほど増えるともされ、それにともなって輸送燃料費や人件費も大幅にアップ。アジアと欧州を結ぶコンテナ船の輸送が

「最大2割」

減少したとも報道もある。紅海からスエズ運河のルートは世界の海上貿易の1割を占める大動脈であり、このルートが長期的に遮断されることは海上貿易に関連する企業にとっては大きな痛手となる。では、今後の中東情勢はどうなっていくのだろうか。

 先に結論となるが、2023年10月以降の中東紛争は時間の経過とともに紛争の当事者が増え、紛争は拡大傾向にあり、長期化が避けられない状況といえよう。

 紛争の発生当初、それはイスラエルとパレスチナ自治区という極めて局地的な紛争の様相を呈していたが、レバノンやイエメン、シリアやイラクを拠点とする親イランのシーア派武装勢力が紛争に加担するにつれ、その影響は

「中東全体」

に及ぼうとしている。

 最近でも、イスラエルとレバノン南部を拠点とする親イランのシーア派武装勢力ヒズボラとの間で軍事的応酬が続くなか、イスラエルは7月30日、レバノンの首都ベイルート南郊を空爆し、ヒズボラの最高幹部フアド・シュルク氏を殺害した。

 これについて、イスラエル軍は7月27日にイスラエルが占領するゴラン高原でロケット砲による攻撃が発生し、子どもなど12人が殺害されたことへの報復と発表し、この攻撃は死亡した最高幹部フアド・シュルク氏が指揮したと主張している。

 また、ハマスは7月31日、イランのライシ前大統領の事故死によって新たに選出されたペゼシュキアン新大統領の就任式へ出席するため、テヘランを訪問していたハマスの最高幹部イスマイル・ハニヤ氏がイスラエルによる攻撃で殺害されたと発表した。

 ハニヤ氏はテヘラン市内にある建物に滞在していたが、イランの革命防衛隊はこれについて7kgほどの弾薬が付いた短距離飛翔体が使用され、建物に衝突して大きな爆発が起こったとし、殺害は極めて計画的で、イスラエルへの報復措置を示唆した。

 4月1日、シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館領事部の建物にイスラエルが発射したミサイルが着弾し、イラン革命防衛隊の司令官や軍事顧問ら13人が死亡したことへの報復として、イランは初のイスラエルへの直接攻撃に踏み切った。

 これはイスラエルをけん制する政治的なパフォーマンスとしての意味合いが強かったが、今後

「イスラエルとイランの直接衝突」

の現実的リスクが高まり、中東の安全保障がさらに緊迫化していくことが懸念される。