「お宅の土地、“細い道路に面しているもの”が多かったのでは?」⇒結果、納税済の10億円が戻ってきた…役所が教えてくれない《実は相続税が安くなる土地》の特徴【税理士が解説】

AI要約

不動産評価において、路線価に基づき算出されるが、個別の土地事情を考慮しないため評価減ポイントが存在する。

接道義務は建築基準法に規定され、道路に2m以上接しているかどうかが重要である。

接道義務が設けられた背景や意義についても説明されている。

「お宅の土地、“細い道路に面しているもの”が多かったのでは?」⇒結果、納税済の10億円が戻ってきた…役所が教えてくれない《実は相続税が安くなる土地》の特徴【税理士が解説】

不動産評価について、国税側は道路1本ごとについている「路線価」に面積を乗じて算出するよう通達してはいますが、道路はすべて同一の条件を持っているわけではありません。「評価減となるポイント」があります。それを知らなければ、本来より多く納税する羽目になってしまいます。税理士法人レガシィ代表・天野隆氏の著書『相続は怖い』(SBクリエイティブ)より一部を抜粋し、役所が教えてくれない評価減ポイントを紹介します。

不動産は一つとして同じものがありません。その点が人間とよく似ています。

あなたに似た人は世の中にいるかもしれませんが、あなたと同じ人はいません。不動産も同様です。

相続税評価額の基準となる路線価は、個別の土地の事情をすべて考慮していません。同じ道路に面していれば1m2あたりの単価は同じになります。

路線価で一律に決められた土地から、評価減となるポイントを見つけ出し、申告書に反映して納税者の方々の利益に資するのが税理士の腕の見せどころとなります。

宅地の評価ポイントとして重要なのが、次に紹介する「接道義務を満たしているかどうか」です。

接道義務は建築基準法第43条で規定されています。建築基準法というのは建築物の敷地や設備、構造、用途などについて、その最低基準を定めた法律です。

いわば建築法規の根幹をなす法律ですが、その中で「原則として建築物の敷地は道路に2m以上接している必要がある」と定められています。

また、道路の定義については建築基準法第42条に規定されています。

以下、建築基準法第42条の原文です。

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この章の規定において「道路」とは、次の各号のいずれかに該当する幅員四メートル(特定行政庁がその地方の気候若しくは風土の特殊性又は土地の状況により必要と認めて都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内においては、六メートル。次項及び第三項において同じ。)以上のもの(地下におけるものを除く。)をいう。

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これ、どういう意味かわかりますか?

つまり「道路は4m以上でないと道路と認めないよ」「それどころか6mないと認めてもらえない区域もあるよ」「さらにはそれらの幅員の道路に2m以上接していないと建物は建てられないよ」ということです。

まとめると、「道路」の幅員は4m(場所によっては6m)以上なくてはならず、その「道路」に2m以上接している場合に限って建築物を建てることを許可する…これが接道義務です。

でも考えてみてください。幅員が4mどころか2mにも満たないような道路が日本のあちらこちらに存在しています。しかもその狭い道路に面して、家がびっしり立っている地域も古くから開けた土地にはいくらでもあります。

それもそのはず、この「接道義務」に関する法律が制定されたのは戦後の1950(昭和25)年です。この法律の制定には、戦後でこれから新しい家がどんどん建っていくタイミングということ、これから自動車が増え、幅員の広い道路が必要になるだろうということ、さらには消防車や救急車などの緊急車両が入れるようでないと、国民生活の安全が脅かされるといったことがあったと予測されます。

そのため今後は4m以上の道路に2m以上接していない土地には、家を建てられないようにしようというのがこの法律の狙いです。