30代会社員、相続した〈4,000万円の実家〉の売却を決意するも「相続税+譲渡所得への課税」の往復ビンタに涙目…対応策はあるか?【相続専門税理士が解説】

AI要約

相続税を支払って不動産を相続したが、売却したい場合にかかる所得税についての特例制度について解説。

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例により、所得税を安くする方法について詳細に説明。

特例を利用することで、相続した不動産を売却しても所得税の負担を軽減することが可能。

30代会社員、相続した〈4,000万円の実家〉の売却を決意するも「相続税+譲渡所得への課税」の往復ビンタに涙目…対応策はあるか?【相続専門税理士が解説】

相続税を支払って不動産を相続したが、不要なため売却したい…。ところが、さらに売却にともなう所得税の支払いも必要になると聞けば、税負担の大きさに思わず涙目になってしまいます。しかし、支払った相続税の金額に応じて所得税額が安くなる「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」があるのをご存じでしょうか。自身もFP資格を持つ、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

母が亡くなり、東京郊外にある4,000万円の実家を相続しました。しかし、私は東京都心部の妻の実家に同居しており、自分の実家に戻る予定はありません。不要なため手放したいのですが、どのような税金がかかりますか?

 

30代会社員(東京都渋谷区)

実家を相続しても戻る予定がないなら、大半の方は売却を検討するでしょう。

不動産は「安く買って高く売る」ことでお金を儲けられますが、相続した実家を売って儲けが出た場合も「所得税」がかかります。

売った金額から買った金額を差し引くことで「儲かった金額」が計算できます。これを「譲渡所得」といい、譲渡所得に20%をかけた金額が、所得税と住民税の合計です。

しかしながら、先祖代々保有していた不動産などの場合、売買契約書が残されておらず、購入金額が不明というケースもよくあります。購入金額が分からない場合は、売却した金額の5%を「買った金額」と仮定して計算します。

しかし、それでは「売った金額の95%が儲け」とみなされ、多額の税金がかかってしまいます。相続税を支払ったうえ、譲渡所得へ多額の課税をされたら、まさに往復ビンタで涙目です。

そのような場合、相続した不動産を売却したときに所得税を安くできる特例がありますので、よく覚えておきましょう。

その特例とは「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」という2つですが、今回は、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」について見ていきたいと思います。