関西圏の「ひとり負け」…意外と知らない「人口激減の実態」

AI要約

日本の人口減少による影響と地域別の人口動向について考察。

東京一極集中の状況と関西圏の人口減少についての懸念。

2030年以降の大都市圏の在り方や国土計画の見直しの必要性について。

関西圏の「ひとり負け」…意外と知らない「人口激減の実態」

人口減少日本で何が起こるのか――。意外なことに、多くの人がこの問題について、本当の意味で理解していない。そして、どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。

100万部突破の『未来の年表』シリーズの『未来の地図帳』は、20年後の日本人はどこに暮らしているのか?人口減少が「10年後、20年後の日本のどの地域を、いつごろ、どのような形で襲っていくのか?についての明らかにした書だ。

※本記事は『未来の地図帳』から抜粋・編集したものです。

地方出身者は関西圏へ目を向けなくなってきた。転職や結婚などを機会に、東京圏へ移動してゆくのが実情なのだ。

東京一極集中と裏表の関係にあるのが地方の人口減少だが、東京圏以外の大都市圏はどうなっているのだろうか?

日本は久しく、東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)、関西圏(大阪、京都、兵庫、奈良)、名古屋圏(愛知、岐阜、三重)という三大都市圏を中心に発展してきた。

東京一極集中の状況にあっても、関西圏や名古屋圏は、世界規模の巨大都市圏競争にのぞむ有力な大都市圏であることに変わりはない。少し視点を変えて考えてみても、日本は「災害大国」と言われるように、地震や大型台風、豪雨による被災が頻発する。いつ、どこでどんな大きな天災が起こるか分からないから、国家の危機管理の観点からも、大都市圏は複数あったほうがよい。

ところが、人口動態の変化はこうした大都市圏の在り方まで変えていく。三大都市圏がいつまでも三大都市圏であり続けられるかどうかは分からないのだ。もしかしたら、国土計画も大きく見直さざるを得なくなるかもしれない。

衰退の予兆が見え始めているのが、なんと、日本第二の大都市圏・関西圏なのである。

「まさか関西圏が……」と思われる読者は少なくないだろうが、数字は冷徹なまでに事実を突きつけている。まずは各地の人口の動きを調べている「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(総務省、2018年1月1日現在)を見てみよう。外国人も含む総人口は東京圏が前年比0.43%上昇し、15万7772人増の3647万623人となった。名古屋圏は208人増の1144万458人で、ほぼ横ばいであった。

これに対して、関西圏は下落傾向に歯止めがかからない。3万6569人減少して1838万1004人となったのだ。前年比0.2%減である。

当然ながら、「日本の地域別将来推計人口」(社人研)が予測する2045年時点の人口水準も、こうした人口トレンドを反映する。東京都の人口は2015年と比べれば、0.7%増とわずかながら多くなる。東京圏を構成する3県は、人口は減るものの、おおむね1割減(神奈川県8.9%減、埼玉県10.2%減、千葉県12.2%減)の水準を維持する。東京一極集中になかなか歯止めがかからないことはこの推計値からも分かる。