787増産で上振れ期待 三菱重工、純利益622億円=24年4-6月期

AI要約

三菱重工業は2024年4-6月期の純利益が前年比17.1%増の622億8600万円で、通期業績見通しは2300億円の最終利益を見込む。

航空・防衛・宇宙セグメントの増収増益が為替の影響で大きく貢献し、民間機事業ではボーイングの生産増加に期待を示す。

また、エアバスからA321neoの非常口ドアを受注し、新たな製品開発にも取り組んでいる。

787増産で上振れ期待 三菱重工、純利益622億円=24年4-6月期

 三菱重工業(7011)が8月6日に発表した2024年4-6月期(25年3月期第1四半期)通期連結決算(IFRS)は、純利益が前年同期比17.1%増の622億8600万円だった。通期業績見通しは据え置き、最終利益は2300億円(24年3月期比3.6%増)を見込む。

◆24年4-6月期

 4-6月期の売上高にあたる「売上収益」は13.0%増の1兆1115億5500万円、本業のもうけを示す「事業利益」は60.7%増の835億2800万円で増収増益となり、受注高は15.0%増の1兆8475億円だった。為替が想定よりも円安に振れたことにより、大幅な増益となった。

 セグメント別のうち、航空・防衛・宇宙セグメントの事業利益は236億円(前年同期比143億円増)。受注高が4760億円(同2111億円減)、売上収益が2117億円(同662億円増)となった。

 航空・防衛・宇宙は防衛・宇宙事業と民間機事業で構成。防衛・宇宙事業は、順調な工事の進捗や採算改善で増収増益。民間機事業はTier1(1次請け)事業の採算改善や為替円安の影響などで増収増益となった。

◆民間機事業「ボーイングよりコンサバにみている」

 三菱重工は、ボーイングのTier1として787型機の複合材主翼を製造するほか、777の後部胴体などを担当。777の後継となる777Xでは、後部と尾部胴体の開発・製造を担う。このほか、737のフラップ、航空エンジンでは米プラット&ホイットニー(PW)製PW1100G-JMエンジンに参画し、英ロールス・ロイス製エンジンの燃焼器モジュール、低圧タービンブレードなども手掛けている。

 737 MAXや787は、ボーイング側で製造上の不具合が相次ぎ、FAA(米国連邦航空局)が監視を強化。生産レートを落としていたが、ステファニー・ポープ民間航空機部門社長兼CEO(最高経営責任者)は7月21日に、737 MAXを中心とした737型機の生産レートを年内に月産38機に、787も5機にそれぞれ戻す方針を示した(関連記事)。

 6日の決算会見に出席したCFO(最高財務責任者)の小澤壽人常務は、現在の民間機事業の計画について「シリアスにみているわけではないが、ボーイングよりはコンサバにみている。787の生産レートは上がってきているので、上振れを期待している」と述べた。

◆A321neo非常口ドア受注

 また、エアバスから小型機A321neoの非常口ドアを受注。ベトナムの子会社で航空機部品を手掛けるMHIエアロスペースベトナム(MHIVA)で生産するもので、現在はプロトタイプを製作しており、8月中に量産体制に入る見通し。

 三菱重工は、総2階建ての超大型機A380の貨物室ドアを手掛けていたが、2021年12月に最終号機(MSN272、登録記号A6-EVS)がエミレーツ航空(UAE/EK)へ引き渡されて生産完了となり、一時的にエアバス向けの出荷が途絶えていた。