東証暴落、背景に米景気減速懸念と円高進行 株高要因が〝逆回転〟で正念場迎える

AI要約

米国経済の景気減速懸念や日米の金利差縮小による円高進行が、東京株式市場で日経平均株価に大きな影響を与え、株価急落が記録された。

米国経済の先行き不透明感が市場を揺さぶり、景気後退への懸念が高まっている。日本企業の業績への影響も懸念されている。

米国の金融緩和への期待から円安を見込む動きがある一方で、日銀は利上げ姿勢を示し円高基調が続く可能性がある。

2日の東京株式市場で日経平均株価(225種)は、前日比2216円63銭安の3万5909円70銭で取引を終え、下げ幅は過去2番目の大きさを記録した。急落の背景には、米国の景気減速懸念の広がりや日米の金利差縮小を織り込んだ円高進行がある。平均株価、東証株価指数(TOPIX)は7月11日にそろって史上最高値を更新したが、その流れは変調しつつある。米国経済の先行きに陰りが出てきたことで、好調だった日本株も正念場を迎えている。

■米経済指標悪化が発端

「米国経済のハードランディング(急激な失速)に対する懸念が市場で高まっている」。りそなアセットマネジメントの黒瀬浩一チーフ・ストラテジストは、株価急落の背景をこう分析する。

発端となったのは8月1日に発表された米国の経済指標だ。製造業の景況感悪化や失業者増加が明らかになった。黒瀬氏は景気後退を避けられる経済のソフトランディング(軟着陸)はまだ可能と見込むが、投資家の間では本格的な景気後退に備える動きが強まる。

■日米の金融政策も焦点

米国では景気への配慮から、米連邦準備制度理事会(FRB)による年内3回の利下げ観測が強まっている。9月には通常の倍のペースの利下げを織り込む動きもある。

これに対し、日銀は利上げに積極的な姿勢を示す。このため外国為替市場ではドルを売って、相対的に魅力が高まりそうな円を買い戻す動きが出ている。これも日本株急落の要因だ。

日銀の調査では、日本企業の令和6年度の平均想定為替レートは1ドル=144円台後半。8月2日午後5時時点は149円台前半のため、さらに円高方向に進めば、業績圧迫への懸念が高まる。

市場では、「日本株の過熱感がなくなった」との見方も多い。6年4~6月期の決算発表で日本企業の堅調な業績が確認されれば、株価は再び上昇基調に転じるとの期待もある。それでも、今後も米国の経済指標の内容によって、市場が一喜一憂する展開は続きそうだ。(永田岳彦)