30歳会社員ですが「将来の年金」に期待できません。もしも「年金ゼロ」で老後を過ごすなら貯金はどれだけ必要でしょうか?

AI要約

少子高齢化の進展が年金制度に与える影響を考察し、年金ゼロで老後を過ごす場合の貯金必要額をシミュレーション。

将来の年金に期待していなくても、年金保険料を納めて年金を受給することの重要性。

老後生活を支える柱として公的年金の重要性を再考する必要性。

30歳会社員ですが「将来の年金」に期待できません。もしも「年金ゼロ」で老後を過ごすなら貯金はどれだけ必要でしょうか?

少子高齢化の進展は、社会保険制度にも影響を与えています。保険料の払い手が減少して保険給付の受給者が増えれば、今後は年金給付額の先細りが起こりかねません。

実際に、現役世代で「将来の年金に期待していない」という方もいるのではないでしょうか。そこで本記事では、年金ゼロで老後を過ごすことになったとき、いくらの貯金が必要になるかシミュレーションします。

まずは、現在30代で年収450万円という方が、将来どの程度の年金を受給できるかを、厚生労働省のシミュレーションサイトで行います。22歳で就職し、このままの年収水準で65歳まで働いたと仮定すると、65歳時点で受給できる年金額は約190万円です。月額に換算すると約15万8000円となります。

総務省の資料によると、2022年度における65歳以上の夫婦のみで無職世帯の平均支出は月23万6696円、65歳以上の単身無職世帯の平均支出は月14万3139円でした。夫婦で暮らす場合は配偶者が受給する年金もありますが、いずれにしても統計上は年金だけでは基礎生活費をカバーするので精いっぱい、というケースが考えられるでしょう。

「年金制度には期待できないから、年金保険料は納めず自分で貯金したい」と考える方もいるのではないでしょうか。

結論、会社員や公務員の場合は年金保険料が天引きで徴収されるため、年金保険料を納めず自分で貯金することはできません。つまり、本人の意図とは関係なく、現実的に年金ゼロになる確率は非常に低いでしょう。

仮に年金ゼロで老後を迎えた場合、いくらの貯金を用意する必要があるでしょうか。単身世帯で毎月の消費支出が15万円、90歳まで生きるケースを想定してみましょう。65歳で退職後、働かない場合は4500万円の貯金を自助努力で用意しなければなりません(15万円×12ヶ月×25年)。

なお、上記の数字は日常的な消費支出です。リフォーム代や介護施設に入居する際の費用など、一時的な支出は考慮していません。さらに、日本は平均寿命が延び続けています。90歳以降も生きる場合、さらに多くの貯金を用意しなければなりません。

このように、年金を受給せずに貯金だけで老後生活に備えるのは現実的ではありません。また、仮に4500万円の資産形成を達成して退職したとしても、資産が減り続けるストレスに耐える必要があります。

一般的に高齢になると、再就職は難しくなります。稼ぐ手段を失ったなかで「資産が減り続けるのを黙ってみるしかない」というのは、相当なストレスでしょう。

公的年金は一生涯支給される終身年金ですから、長生きリスクに備えるうえで重要な役割を果たしています。想定以上に長生きしても支給され続ける制度なので、老後生活を支える収入源となるのは間違いありません。

公的年金制度への不信感を持っていたとしても、自分の老後生活を守るうえで年金保険料を納付し、できるだけ多くの金額を受給できるように備えることは大切です。

将来の年金に期待していなかったとしても、年金保険料を納付して年金を受給できるように備えるべきです。公的年金は老後生活を支える柱となるため、軽視すべきではありません。

仮に年金が受給できなかったとしたら、退職後に発生する費用のすべてを自分で用意しなければなりません。数千万円以上の資産形成を行う必要があるうえに「いくら用意すれば安心か」という正確なラインもないため、現実的な選択肢とはいえないでしょう。

出典

厚生労働省 公的年金シミュレーター

総務省 家計調査年報〈家計収支編〉2022年〈令和4年〉結果の概要

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー