【おひとりさま女性】老後の「年金」はいくらなの?お金事情と老後対策を解説
高齢女性のひとり暮らし率が増加傾向にあり、年金額は全体よりも高く、収支はおおむね黒字で安定している。
公的年金が年々収入の大部分を占めることが明らかであり、老齢になるほど割合が高まる。
貯蓄額には幅があり、500万円未満が多い一方で、高額な貯蓄を持つ世帯も存在する。
内閣府の「令和5年版高齢社会白書」によると、65歳以上の女性のうち、ひとり暮らしの人の割合は増加傾向にあり、2020年は22.1%でした。
今後この割合は増加すると推測されており、夫婦世帯とは別のライフプランを考える必要がありそうです。
今回は、厚生労働省「年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)令和4年」のデータをもとに、年金を受給しているひとり暮らしの女性の年金額や収入と支出、貯蓄額などを紹介します。
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最初に、厚生労働省「年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)令和4年」から、年金を受給している女性全体の受給額と、ひとり暮らしの女性の受給額を紹介します。
●女性の年金額(年額)
・50万円未満:6.9%
・50~75万円:16.2%
・75~100万円:26.7%
・100~200万円:37.5%
・200~300万円:12.1%
・300万円以上:0.8%
平均額:120万7000円(月額10万583円)
●単身女性の年金額(年額)
・50万円未満:6.2%
・50~75万円:9.5%
・75~100万円:14.3%
・100~200万円:46.1%
・200~300万円:22.6%
・300万円以上:1.2%
平均額:148万5000円(月額12万3750円)
上記から、女性全体の年金額とひとり暮らしの女性の年金額では、ひとり暮らしの女性の年金額が多い結果となりました。
ひとり暮らしの女性の年金額(年額)は、女性全体の年金額に比べて30万円近く多くなっています。これは、老後にひとり暮らしをする女性の多くは、現役時代に正社員として長く勤めていた可能性が高いためと考えられます。
続いて、年金を受け取っているひとり暮らしの女性の家計収支や、貯蓄額などを紹介します。
●女性おひとりさま年金受給者の収入総額に占める公的年金収入の割合
先ほどと同じ厚生労働省のデータより、年金を受け取っているひとり暮らしの女性の収入に占める公的年金の割合は、以下のとおりです。
・全体平均:84.8%
・65~69歳:66.0%
・70~74歳:78.5%
・75~79歳:83.2%
・80~84歳:90.7%
・85~89歳:90.6%
・90歳以上:92.5%
65歳以上で年金を受け取っている女性の収入に占める年金の割合は、年齢が高くなるほど上がっていくことが確認できました。その中で69歳までは66.0%であり、70歳までは就労で収入を得ている人が多いと考えられます。
●女性おひとりさま年金受給者の収入と支出の関係
同じ厚生労働省のデータより、年金を受け取っているひとり暮らしの女性の収入(年金以外を含めたもの)と支出を紹介します。なお、収入は年額、支出は月額となっており、また、収入では平均額、支出は中央値が公表されています。
単身女性の収入額(年額)
・50万円未満:4.5%
・50~75万円:6.4%
・75~100万円:10.5%
・100~150万円:16.4%
・150~200万円:21.9%
・200~250万円:19.3%
・250~300万円:8.1%
・300~400万円:6.5%
・400~500万円:3.0%
・500~800万円:2.1%
・800万円以上:1.1%
・不詳:0.4%
平均額:205万5000円(月額17万833円)
単身女性の支出額(月額)
・5万円未満:5.0%
・5~10万円未満:23.3%
・10~15万円未満:27.9%
・15~20万円未満:18.1%
・20~25万円未満:7.0%
・25~30万円未満:2.1%
・30~35万円未満:1.0%
・35~40万円未満:0.6%
・40~50万円未満:0.2%
・50万円以上:0.3%
・不詳:14.4%
中央値:12万6000円
年金以外の収入金額の平均と年金額の差額は年間57万円(月額約4万7000円)で、公的年金の不足分を就労で補う人も多いと考えられます。
収入の平均額と支出の中央値の差額は、約4万5000円の黒字です。このことから、老後のひとり暮らしの女性は、おおむね経済的に困窮せずに生活できているといえるのではないでしょうか。
●女性おひとりさま年金受給者の貯蓄額は?
次に、同じ厚生労働省のデータより、年金を受け取っているひとり暮らしの女性の貯蓄額を紹介します。
・貯蓄なし:13.2%
・100万円未満:13.0%
・100~300万円:15.8%
・300~500万円:10.5%
・500~700万円:7.4%
・700~1000万円:9.4%
・1000~1500万円:7.9%
・1500~2000万円:5.9%
・2000~3000万円:4.6%
・3000万円以上:5.0%
・不詳:7.4%
上記から、貯蓄なし世帯が13.2%、また、500万円未満に半数以上が分布しています。一方、1000万円以上の高額の貯蓄がある世帯も4分の1近くになっています。