預金金利、大幅アップへ 日銀追加利上げで 住宅ローン金利上昇の影響は見方分かれる

AI要約

日銀が7月31日の金融政策決定会合で追加利上げを決定。大手企業は冷静に受け止め、中堅・中小企業は資金繰りへの懸念が高まった。

日米の金利差縮小に伴う円安是正を期待する声も。経営が圧迫される可能性がある中小企業も。

金利引き上げによる影響は広がり、家計や企業の資金繰りに影響が出る可能性も。

預金金利、大幅アップへ 日銀追加利上げで 住宅ローン金利上昇の影響は見方分かれる

日銀が7月31日の金融政策決定会合で追加利上げを決めた。これを受け、大手中心に企業からは冷静な受け止めが多く聞かれた。また同日、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が9月に利下げを検討する可能性に言及。日米の金利差縮小に伴う円安是正を期待する声も上がった。ただ、経営体力の強くない中堅・中小企業からは、将来の資金繰りなどへの懸念が上がった。

大和証券グループ本社の吉田光太郎常務執行役最高財務責任者(CFO)は1日の決算会見で、日銀の決定について「金融政策正常化の歩みに沿ったもの」と評価。「金利のある世界」で取引が活発になることに期待感を示した。

パナソニックホールディングスの梅田博和CFOも7月31日の決算会見で「調達コストは上がってくると思う」としつつ、「収益性の目線も上げながら金利のある世界に対応する」と語った。

日銀の決定を受け、メガバンク3行は普通預金の金利引き上げを相次いで発表。三菱UFJ銀行は年0・02%から0・10%へ引き上げ、9月2日から適用する。預金者には〝朗報〟となる。

一方で同銀は、優良企業に融資する際の優遇金利を示す短期プライムレート(短プラ)を17年半ぶりに引き上げる。地方銀行のみなと銀行(神戸市)も平成19年以来の短プラ引き上げを決めた。

企業が運転資金を借り入れる際の金利が上がる見込みで、中小企業中心に経営が圧迫される恐れも。家庭日用品を製造・販売する平安伸銅工業(大阪市)の竹内香予子社長は「資金を借りやすい時期に経営に携わってきたが、今後の設備投資の計画を考え直さないといけない」と話した。

変動型の住宅ローンの金利上昇も予想され、大阪市の中堅住宅建設会社、ビーバーハウスの担当者は「需要が鈍るのは避けられない」とした。

一方、日米の金利差縮小に伴い円高が進む可能性があり輸出や日本への旅行に逆風となる。ただ「フォーシーズンズホテル大阪」(大阪市)のアレスター・マカルパイン総支配人は「(訪日客が増えている)トレンドは変わらない」と語った。