日本は12.4年! クルマの「平均使用年数」が年々延び続けている根本理由

AI要約

自動車の平均使用年数が延びている理由について解説。技術革新による性能向上やメンテナンスの進歩などが影響している。

自動車価格の上昇やローン期間の長期化により、中古車市場が活況を呈している。新車よりも中古車の需要が高まっている。

環境問題への意識の高まりもあり、1台の車を大切に乗る傾向が強まっている。

日本は12.4年! クルマの「平均使用年数」が年々延び続けている根本理由

 皆さんは愛車の“使用年数”を知っているだろうか。車検の時期や買い替えのタイミングで確認することもあるかもしれない。

 大きな買い物だけに、買い替えのタイミングは難しい問題だ。「必ず新車を買う」という人もいれば、「今回は中古車で」という人もいるだろう。

 車を買い替える際には、経済状況や仕事、家族のニーズなど、さまざまな要素を考慮する必要がある。

 あまり意識していないかもしれないが、実は車の平均使用年数は年を追うごとに延びている。これはなぜなのか。また、使用年数が長くなるとどうなるのか。データとともに解説する。

 米国の金融サービス会社S&Pグローバルの調査によると、2024年時点で米国の自動車の平均使用年数は

「12.6年」

となり、2023年と比べて2か月増加した。データは2012年から確認できるが、緩やかな右肩上がりで推移している。稼働台数は2億8600万台に増え、電気自動車(EV)は300万台を超えた。

 日本では、自動車検査登録情報協会のデータによると、2015年3月末の乗用車(軽自動車を除く)の平均使用年数は

「12.38年」

で、10年前の2005(平成17)年から1.45年延びている。年単位での増減はあるが、10年スパンで比較すると上昇している。1976(昭和51)年からのデータを見ると、異なる車種でも着実に増えている。

 米国と日本という異なる自動車市場でも同じ傾向が見られる。何か理由があるのだろう。

 現在の車は昔に比べて格段に性能が向上している。これは、技術革新によってエンジンやトランスミッションなどの部品の耐久性が向上したためだ。

 加えて、メンテナンスや修理のノウハウも進歩している。便利な診断ツールによって、トラブルの早期発見が可能になった。タイヤやオイルなどの消耗品も性能が向上している。

 自動車メーカーが保証期間を延長しているのは、顧客サービス意識だけでなく、耐久性の向上も背景にあるだろう。

 加えて、新車販売価格の上昇は、インフレとサプライチェーンの状況によって複雑化している。自動車メーカーは実に多くのサプライヤーから調達しており、原材料やエネルギー価格の上昇など、さまざまな影響を受けて値上げせざるを得ない事情がある。

 自動車価格の高騰にともない、ローン期間も長期化している。まだ返済が残っているのに買い替えようという気にはならない人が多い。

 中古車市場は活況を呈している。日本の中古車登録台数は、新車登録台数を上回る傾向にある。これは、耐久性の向上による品質のよい中古車の流通と、新車価格の高騰によるものだろう。

  また、近年環境問題がクローズアップされていることも、頻繁に買い替えるのではなく、1台の車を大切に乗るという意識の高まりにつながっているのかもしれない。

 こうしたさまざまな要因から、自動車の平均使用年数はどんどん延びている。