大規模システム障害が暴露した航空業界の「過度なIT依存」 システムの高度化にともなう“ブラックボックス化”への懸念とは

AI要約

クラウドストライクのセキュリティー製品のバグに端を発した世界的なシステム障害が、航空業界を含め多くの企業や経済活動に影響を与えた。

航空業界においてITは極めて重要であり、予約管理から運航管理、整備まで幅広い分野で不可欠な役割を果たしている。

ITの導入により、航空会社は収益性を高めるための戦略を展開し、効率的な業務やサービス提供が可能になっている。

大規模システム障害が暴露した航空業界の「過度なIT依存」 システムの高度化にともなう“ブラックボックス化”への懸念とは

 米国時間7月18日に発生したクラウドストライクのセキュリティー製品のバグに端を発した世界的なシステム障害により、多くの企業や経済活動が大きな影響を受けた。なかでも、大規模な運休を余儀なくされた航空業界は大きな注目を集めた。

 つまり、現代において航空業界は

「ITなし」

では成り立たなくなっているのである。

 まず、予約管理を取り上げよう。予約管理におけるITの重要性は、米国では

「1980年代」

から認識されていた。飛行機の空席は、出発時刻を過ぎても埋まらなければ意味がない。航空会社が提供する商品である輸送サービスは、モノと違って保管できない。従って、航空運送業界における在庫管理システムである予約管理は、経営戦略上極めて重要なのだ。

 しかも、1日に何十便、何百便という飛行機が離陸するようになったため、人手による予約管理は不可能に。そこで、IT技術による予約管理が必要になってきたのだ。

 また、近年、航空会社は収益性を高めるために、同じ便内でも

「多様な運賃体系」

を設定し、管理するようになっている。こうした戦略が可能になったのもITのおかげだ。さらに、AI(人工知能)の導入により、より収益性の高い最適な運賃の組み合わせが実現できるようになった。

 航空機の運航管理においてもITは重要である。時間的・コスト的に最適な運航ルートの設定や、巡航軌道に入った航空機の自動運航が可能になった。整備においても、部品の劣化度や修理時期の正確な測定がITによって可能になりつつある。

 空港では、

・自動チェックイン

・搭乗手続き

など、予約システムと連動し、ITが大きな役割を果たして簡素化が進んでいる。これがなければ、このような業務に携わる人材の育成は、より長く、よりコストのかかるものになりかねない。

 このように、ITは航空業界の幅広い分野で必要不可欠なインフラとなっているのだ。