【任天堂、宝酒造の人気が沸騰】海外市場で強さを発揮する企業が京都に多い理由 「“世界で食べる”というDNAがある」

AI要約

京都に本社を構える企業が世界で注目される機会が増えている。宝酒造のスパークリング日本酒がニューヨーク・メッツのスタジアムで提供されることなど、海外展開が盛んである。

京都企業は世界市場で強さを発揮しており、特に村田製作所や京セラなどの企業は海外での売上比率が高い。任天堂もゲームだけでなくキャラクタービジネスでも成功しており、ゲーム関連の観光名所が京都に誕生している。

京都を訪れる外国人観光客が増えている中、任天堂の直営ストア「Nintendo KYOTO」が大人気で、海外からの観光客が訪れる新たな観光名所となっている。

【任天堂、宝酒造の人気が沸騰】海外市場で強さを発揮する企業が京都に多い理由 「“世界で食べる”というDNAがある」

 日本における“経済の中心地”というと、東京・大阪・名古屋の三大経済圏のイメージが強い。しかし、ニデック、島津製作所、堀場製作所など、京都に本社を構える有力企業は少なくない。実際、こうした「京都企業」が世界に注目される機会も増えている。

〈MIO THE JAPANESE SPARKLING SAKE〉──ニューヨーク・メッツの本拠地であるシティ・フィールドでは、電光掲示板や通路、外壁など約430か所に「MIO」の文字が並んでいる。

 京都に本社を置く宝酒造が3月末にメッツとオフィシャルスポンサー契約を締結し、主力商品であるスパークリング日本酒「澪」のデジタル広告を掲出しているのだ。

「メッツサイドからスタジアムで日本酒を提供したいとの申し入れがあり、契約に至りました。『澪』は球場内のレストランやスイートルームで提供される初めての日本酒になりました」(宝ホールディングス広報・IR部広報課)

 同社傘下の米国宝酒造は世界28か国に商品を輸出し、北米の日本酒市場でシェアトップの30%を占める。

「若者の間で人気が高まり、海外での日本酒の消費量は増えていますが、浸透はまだまだこれからです。今後は世界48か国で販売されている『澪』を京都・伏見発のグローバルブランドとして成長させます」(同前)

 海外の市場で強さを発揮する京都企業は多い。『経済界』編集局長の関慎夫氏が解説する。

「京都の企業には、“世界で食べる”というDNAがあります。海外売上比率は村田製作所が9割、京セラが7割を超えている。両社は東南アジアでの電子部品新工場の稼働を進め、さらなる生産能力の拡大に動いています。

 任天堂は、ゲームのみならずキャラクタービジネスでも攻勢を強め、2023年4月に公開された映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は米国を中心に世界的に大ヒットとなった。興行収入は2000億円を超え、2026年に続編が公開されることが決まりました」

 任天堂の快進撃により、京都には海外からの旅行客の新たな“観光名所”まで生まれている。

 昨年10月、四条通寺町にある京都高島屋S.C.(T8)の7階にオープンした直営オフィシャルストア「Nintendo KYOTO」である。記者が訪れると、店内は満員状態。とりわけ外国人観光客の姿が目立った。

「平日は9割が外国人観光客です。直営店は東京と大阪にもありますが、『創業地の京都だけにある限定商品を買いに来た』という声が多いですね。店内装飾にはゲームキャラクターの原点であるドット(ピクセル)やグリッドをモチーフとして取り入れており、それらを見るために海外から京都を訪れたという方もたくさんいます」(販売担当者)

 古都の観光名所は神社仏閣が定番だったが、ゲーム好きの外国人が“聖地巡礼”に訪れるスポットも加わっているのだ。