有名な思考実験「アキレスと亀」は簡単に論破できる? 論理力を鍛える3つの例

AI要約

地球人と文明度が異なるX星での語訳の難しさについて考える思考実験。

地球人とX星人が共存する状況で、猫の名前に関する翻訳の証明が難しい理由。

想定外の言語や文化の違いが、正確な翻訳を困難にしている状況。

有名な思考実験「アキレスと亀」は簡単に論破できる? 論理力を鍛える3つの例

日々、膨れ上がる情報の波を前に過ごしている私たちだが、情報に振り回されないために必要なのは、やはり「自分の頭で考える力」ではないだろうか。そんな力を鍛える最適な方法として注目されるのが、実際の実験を行わずに頭の中で問題を考える「思考実験」である。

思考実験は、いわば考えるゲームのようなもの。楽しみながら取り組めて、思考力も身につけられる現代人の強い味方だ。ここでは、企業研修で思考実験を積極的に行う笠間リョウ氏の著作より、答えのあるパターン、ないパターンの問題を紹介する。

※本稿は、笠間リョウ著『頭がいい人の論理的思考が身につく!大人の思考実験』(総合法令出版)より一部抜粋・編集したものです。

言葉についての思考実験です。

20XX年、宇宙開発が進められて、宇宙旅行が当たり前になりました。

銀河系の探査が進み、銀河系の星々の中には、人類のような知的生命体がいることもわかりました。そうした知的生命体が生活している星の中で、地球人と全く同じ外見で、私たちと同じ社会を持って、共同生活をしているX星が発見されました。

この星の詳細はまだ調査途中ですが、身体のつくりもほぼ同じであることがわかってきたのです。生息している生物も地球そっくりで、牛や豚のような家畜も飼われていることがわかりました。

私たち地球人と唯一異なるのは文明の進化度です。

地球人の歴史でいうところの1000年~1500年以上、文明が遅れているようでした。生活は基本的に狩猟生活が中心で、農耕文化はさほど発展していないようです。

あなたは、地球人の語学研究家として、公的機関から未開の星に調査に行くことになりました。

あるとき、現地の宇宙人(X星人)が居住している村で、宇宙人と一緒に散歩をしていたときに、目の前をサッと小さな物体が飛び去りました。地球でいう猫らしきもののようです。それを見て宇宙人は、「ギャバガイ!」と叫んだのです。

そこで、あなたは、当然のごとくX星の語訳として「あっ、猫!」、または「ほら、猫だよ」という文章を書き留めました。ところが、その翻訳が正しいのかどうかは、証明することができません。なぜでしょう?