マンションの「共用部配管の取替工事」に2000万円…ゴミ箱直行だった「理事会議事録」を読んでビックリ!高額ムダ工事の”推し活”がヤバすぎた【マンション管理クライシス】

AI要約

マンションの大規模修繕工事について、無駄が多いとされる共用部給排水管の更新工事が推奨周期より早すぎるのではないかという疑念がある。

実際には、給排水管の漏水事故は多くが古い銅管によるものであり、共用部の縦管は更新時期を遅らせても問題ない場合が多い。

配管の性質や構造上漏水が住戸に影響することは少なく、給排水管の材質やグレードによって更新の必要性が異なる。

マンションの「共用部配管の取替工事」に2000万円…ゴミ箱直行だった「理事会議事録」を読んでビックリ!高額ムダ工事の”推し活”がヤバすぎた【マンション管理クライシス】

実は無駄が多いマンションの大規模修繕工事。そのほとんどが、推奨される修繕周期では過剰と言えるのは前回連載で詳報した通りだ。しかし、まだある。特に戸あたり40~80万円と、高額な工事費を要する共用部給排水管の更新工事は推奨期間では早すぎるという疑念がある。

一般的には、30年程度が更新時期と言われるが、実際には漏水が増えてからの対処でも問題ないと業界関係者は指摘する。(*記事内容は編集部が保証するものではありません。実際のマンションの状況に合わせて情報を参考にしてください)

関東に築30年の50戸のマンションを所有する男性が言う。

「久々にマンション管理会社から送られてくる理事会議事録に目を通したら、驚きました。まだ全然問題なさそうなのに、わずかな範囲しかない鉄部の塗装に200万円近くかけていたり、LED照明3ヵ所の交換に17万円と、エアコンの交換より高いのはさすがにおかしいと思いました。

特に首を傾げたのは、共用部の排水管の交換です。時期に来たので交換を検討するというもので、2000万円かかるそうです。しかし、排水が詰まったり、漏水したという話は聞かないし、本当に今、交換が必要なのか、という思いです」

一級建築士でマンションコンサルタントの須藤桂一氏が指摘する。

「そもそも配管類での漏水事故は、その90%が古い銅管でできた給湯管によるものが多いのです。セントラル方式以外で給湯管は専有部にしかなく、これは各住戸が対処すべき箇所で、一般的に管理組合として対応すべき事項ではありません。

しかも、共用部の給排水管のほとんどはパイプスペース内にある『縦管』で、漏水は専有部から来る排水管と接合する『継手』部分が多く、仮にそこで漏水しても、1階や地階に滴り落ちるので、構造上、住戸への漏水は考えにくい。縦管は漏水の頻度が増えてから更新を考えても遅くはありません。

なお、排水管は最終的に公共の下水管に繋がっており、管の内側には圧力がかからず、劣化したところで、一般人が考えがちな『管が破裂して汚水が噴き出す』といったトラブルは物理的に考えられません。

また、管の材質に関しては、90年代から採用が広がった『架橋ポリエチレン管』や『ポリブデン管』など樹脂系の配管や、『ステンレス鋼管』による配管において、共用部扱いの縦管では、漏水の発生頻度自体が低い。給排水管については、少なくとも設備のグレードで更新の周期を考えるべきです」