【米国株ウォッチ】テキサス・インスツルメンツが本日決算発表、注目ポイントは?

AI要約

テキサス・インスツルメンツ(TXN)は2024年度第2四半期決算を発表予定。売上高とEPSは市場予想を上回る見込み。

TXNの株価は20%上昇しており、過去3年間のリターンは波がある。産業用および車載用半導体の見通しは良好。

TNXの直近の決算では売上高が減少し、利益率も下がった。ただし、工場のオートメーション化や自動車分野の成長が期待される。

【米国株ウォッチ】テキサス・インスツルメンツが本日決算発表、注目ポイントは?

半導体企業テキサス・インスツルメンツ(ティッカーシンボル:TXN)は米国時間7月23日に2024年度第2四半期決算を発表する予定だ。私たちは、売上高は前年同期比約15%減の38億4000万ドル(約6045億円)と市場予想をやや上回り、EPS(1株当たりの純利益)は1.17ドルとほぼ市場予想通りになると考えている。

私たちはTNXの目標株価を175ドル程度としており、これは現在の株価を下回る水準だ。

■株価パフォーマンス

TXNは2021年1月初旬につけた165ドルから、現在の199ドル前後という株価水準まで、約20%の上昇を見せている。過去3年間のリターンを見ると、2021年は15%、2022年はマイナス12%、2023年は3%だった。これに対し、S&P500種株価指数のリターンは、2021年に27%、2022年にマイナス19%、2023年に24%であり、TXNは2021年と2023年にS&P500を下回っている。

■直近の決算動向

半導体業界全体でみると、AI向け半導体の需要急増やパソコン市場の回復に牽引され、ここ数四半期は循環的な低迷からの回復が見られる。しかしその一方で、主要顧客の買い控えなどによりテキサス・インスツルメンツは苦戦を強いられた。

第1四半期決算の売上高は、前年同期比約16%減の36億6000万ドル(約5763億円)、EPSは1.10ドルとなり、アナログ半導体と組み込み製品の両分野で売上が低迷したことが重荷となった。アナログ半導体と組み込みシステムを含む同社の製品ラインアップは、同業他社と比較して、マクロ経済要因への依存度が高いと見られている。

アナログ半導体の主要顧客の1つである自動車業界は、コロナ禍による供給の急減を受けて在庫を積み増したが、現在はその積み上げた在庫を消化する段階である。また、同社は産業オートメーション向けに特別に設計されたプロセッサやマイクロコントローラなどの製品も多数製造しているが、同セグメントの売上高も1桁台後半の減収となった。利益率も下落し、売上総利益率は前期比3.2ポイント減の66.1%だった。この利益率の低下は、収益基盤の縮小に加え、工場稼働率の低下に伴う生産コストの上昇などが影響している。

■産業用および車載用半導体の見通しは良好

しかし、テキサス・インスツルメンツにとってプラス材料もある。工場のオートメーション化というトレンドが加速し、人件費も上昇を続けているため、今後数年間は産業オートメーション向け半導体の生産量は堅調に伸びると予想される。自動車分野も、コネクテッドカーや自動運転車に対する関心の高まりから、そこに使用される半導体は力強い成長が見込まれる。2023年における同社の売上高の約75%はこの産業用と車載用が占めている。この2つの市場は2013年以来、年率10%で拡大しており、この傾向は今後も続くだろう。

また、テキサス・インスツルメンツは300ミリメートルウエハの生産能力を拡大するために米国で多額の投資も行っている。これは地政学的リスクの軽減に役立つと同時に、効率性と長期的な競争力の向上にもつながる。さらに、アクティビスト投資家のエリオット・マネジメントは最近、25億ドル(約3937億円)相当のテキサス・インスツルメンツ株を取得し、同社に対し、資本支出をより適切に管理し、2026年までに1株当たりのフリーキャッシュフローを9ドルに引き上げるよう働きかけている。これが株価への好材料となる可能性もあるだろう。