北陸新幹線の延伸工費が倍増、費用対効果が条件割れ 計算方法変更へ

AI要約
北陸新幹線の敦賀―新大阪延伸計画の建設費が2倍の3.9兆円に膨れ上がり、小浜・京都ルートの着工が難しい状況に他の新幹線整備計画も建設費が上昇しており、財源の問題も浮上政府と与党は費用対効果の計算方法を変更し、着工条件を満たすための調整を進めている
北陸新幹線の延伸工費が倍増、費用対効果が条件割れ 計算方法変更へ

 北陸新幹線の敦賀(福井県)―新大阪の延伸計画で、政府が進める「小浜・京都ルート」の建設費が、従来想定の約2倍の約3.9兆円に膨らむ見通しであることがわかった。建設資材が高騰し、難工事も予想されるからだ。費用対効果も悪化し、着工の目安とされる「1」を下回る恐れがある。財源のメドもたっておらず、あらためてルート選定の是非が問われる。

 小浜ルートは、福井県小浜市付近と京都駅を通る全長約140キロの計画。2016年度に与党のプロジェクトチームが決め、建設費は約2.1兆円と見込んだ。与党側は年内にも詳細なルートを決め、来年度の着工をめざすが、財源は未定だ。

 関係者によると、国土交通省と建設主体の「鉄道・運輸機構」が改めて建設費の概算を精査したところ、約3.9兆円になった。それにより、今の計算方法による費用対効果は1.1から0.5程度に下がる見込み。建設費などの半分しかメリットが得られないことを意味する。すでに関係自治体に説明を始めており、今夏にも詳細を公表する。

 政府は、新たな区間の着工には、費用対効果が1を上回ることを事実上の条件としてきた。

 北海道や北陸などの整備新幹線は、建設費が当初の想定から大きく上ぶれしている。国交省は、滋賀県米原市で東海道新幹線と接続する「米原ルート」の概算も精査した。関係者によると、建設費は従来想定の5900億円から約1兆円に増える。費用対効果も2.2から下がるが、1程度になる見込みという。

 ただ、国交省と与党の関係議員は、費用対効果の計算方法を変更する方向で調整中だ。前提とする金利の条件などを改め、従来は織り込んでいなかった地域のにぎわいといった経済効果を新たに加えるとみられる。同じ建設費でも費用対効果が大きくなり、形の上で小浜ルートが着工条件を満たす可能性がある。