黒田氏「目標達成を確信」、大規模緩和が効果-14年上期・日銀議事録

AI要約

日銀が2014年の金融政策を振り返る議事録を公表。QQEの効果に自信を深める局面で、物価上昇基調や長期金利の懸念が浮上。

消費税引き上げ後も事業の範囲内の影響、物価上昇に貢献。将来の物価見通しは2%到達の可能性を示唆。

長期国債保有が3.6倍に増加し、出口戦略の検討が進行中。市場への影響を最小限に抑えるための対策が焦点。

(ブルームバーグ): 日本銀行は16日、2014年1-6月の金融政策決定会合の議事録を公表した。円安などを背景に消費者物価は上昇基調をたどり、導入から1年が経過した大規模な量的・質的金融緩和(QQE)の効果に黒田東彦総裁(肩書は当時、以下同)らは自信を深めていた時期だった。

「物価安定の目標の達成に確信を持っている」。4月8日の会合後の記者会見で黒田総裁は胸を張った。就任直後の13年4月に打ち出したQQEについて、同会合では「量的・質的金融緩和を導入して1年であるが、その効果は引き続きしっかり働いている」と総括した。

4月1日には消費税率が5%から8%に引き上げられたが、政府の経済対策もあり、事務方からは増税の影響について「おおむね企業の想定の範囲内」との報告が続いた。同月の消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)は、消費税率引き上げの影響を除いて前年比1.5%まで上昇率を高めた。

4月30日の会合では、コアCPIが「見通し期間の中盤ごろに2%程度に達する可能性が高い」と経済・物価情勢の展望(展望リポート)に明記。金融緩和に積極的なリフレ派の論客である岩田規久男副総裁は、QQE導入時に宣言した2年程度で物価が目標の2%に達する可能性について「導入した当時に私が考えていたよりも、その確実性はむしろ高まっている」と自信を示した。

物価が上昇を続ける中、低水準で推移する長期金利の急騰懸念を背景に、大規模緩和からの出口を巡る議論も出始める。6月13日の会合で宮尾龍蔵審議委員は、「最初に市場参加者が予想インフレ率に徐々に織り込んで、その上でわれわれの出口の議論、出口に関する情報発信がくればよい」と発言。木内登英審議委員は、「金利の上昇が怖いので出口を遅らせるというのは本末転倒だ」と述べている。

実際の出口は、それから10年後の24年3月まで待つことになるが、14年6月末の日銀の長期国債保有は160兆円程度だった。現在は580兆円と3.6倍に達しており、市場での存在感ははるかに大きい。植田和男総裁が率いる現在の日銀は今月末の会合で長期国債買い入れの減額計画を決める予定で、市場への影響を最小限に抑えられるかが焦点となる。