新興国投資で失敗しないためにおさえておきたい理想と現実

AI要約

新興国への投資は高い成長率と投資リターンを狙えるが、カントリーリスクも存在し慎重に考える必要がある。

投資は長期志向で行うべきであり、新興国投資には40年スパンで考えるべきだと助言されている。

投資環境の要素や新興国の企業不透明さなど、リスクをよく理解した上で投資を行うことが重要である。

新興国投資で失敗しないためにおさえておきたい理想と現実

これから経済成長が見込まれる新興国への投資は魅力的に見えて然るべきだ。が、リスクもきちんと認識せねば、悲惨な目に遭うことも。新興国への投資商品に詳しい金融のプロが詳しく解説する。

 高い経済成長率に乗じた投資リターンを狙うのが、新興国投資のセオリーだ。そもそも新興国に明確な定義はなく、「欧米や日本などの先進国に対し政治・経済が発展途上だが、経済成長が著しく、世界経済への影響が大きい国」を指すことが多く、例えばブラジルやインドが挙がる。

 国際通貨基金(IMF)の予測では、2025年の先進国の経済成長率が1.8%に対し新興国のそれは4.2%と2倍以上だ。また欧州の資産運用会社アムンディによれば、今後10年間の投資期待リターンは先進国が5.8%に対し新興国が7.0%と高い。

 が、そう簡単にはいかない。新興国には「カントリーリスク」という政治・経済の不安定さが金融市場の混乱を呼び、価格の急騰落を繰り返す致命的なリスクがあり、投資タイミングや期間によっては大損失を被ることもある。

「新興国投資は10年以上の長期でつきあうのが原則で、可能なら、新卒社会人が定年になる約40年スパンで考えたいです。マイナス期間が長く続いての“狼狽売り”なんてもってのほか。さもないと、経済紙などが予想する『期待リターン』は実現できません」

 と助言する三根公博さんは、長年金融業界で、新興国関連の投資商品を扱ってきた投資のプロだ。また三根さんは、新興国の金融環境を展望し、こうも分析する。

「世界全体の時価総額は、その半分が米国で、新興国は数%程度です。ゆえに、投資金の流通量が僅少で、期待リターンの割にファンドが投資商品を作りづらく、投資家が資金を入れづらい。

また新興国の有名企業も少ない。例えばインドの有力企業といえば? と聞かれて『タタ』以外の企業名を言えますか? これが新興国の実情で、不透明さのリスクを飲めなければ投資してはいけません」(三根さん)

後編では、これらの助言を基に新興国投資に失敗しないためのノウハウをまとめた。

取材・文/久我吉史

※掲載している情報は4月25日時点のものです。