「大規模イベント」開催後に乱れるバスダイヤ! 夏休みシーズンに備えてどう対応すべき? 米国データを基に考える

AI要約

大規模なイベント終了後の交通問題について、米オハイオ州立大学が行った研究結果を紹介。

2018年と2019年のコロンバスの大規模アメフト試合での交通データ分析結果を取り上げ、バスサービスの信頼性の低下や混雑の様子を詳細に解説。

特に試合後の交通混雑が深刻であり、バスサービスのピーク時には運行ダイヤの信頼性が24.5%低下していたことが明らかに。

「大規模イベント」開催後に乱れるバスダイヤ! 夏休みシーズンに備えてどう対応すべき? 米国データを基に考える

 夏休みシーズンになると、大規模なイベントが数多く予定されている。ただ、楽しいイベントが終わった直後は、どうしても帰りの交通問題に直面する。文字通りイベントが終わってからと後回しにしがちだが、明日以降の生活を考えると決して軽視できるものではない。

 コンサートやスポーツ観戦などの大規模イベントは、当然ながら周辺の交通に少なからぬ影響を与える。しかし、その影響がどのようなものなのか、正確なところはよくわかっていない。

 米オハイオ州立大学が2023年12月に『ジャーナル・オブ・トランスポート・ジオグラフィー』誌に発表した研究は、オハイオ州コロンバスのアメリカンフットボールの大規模な試合前後の交通について、興味深い詳細な分析を行っている。

 研究チームは、2018年と2019年にコロンバスのオハイオ・スタジアムで開催された、10万人以上の観客を集めたアメフトの試合前後の数時間における、同地域の交通状況を詳細に分析した。そのデータには、バスサービスのリアルタイムデータも含まれていた。

 同市の公共交通であるセントラルオハイオ交通局(COTA)が提供するバスサービスは、120万人以上の住民が住む地域にサービスを提供しており、2019年には

「1900万回」

の利用があった。分析によると、試合当日は、他の日に比べて、市バス運行ダイヤの信頼性が

「7時間以上」

も著しく低く、スタジアム付近を移動しないバス利用者でさえ、スケジュールで約束された時間内に目的地に到着していないことがわかった。これは予想されたことではあったが、運行ダイヤは大きく乱れた。

 もちろん、地元の人々はフットボールの試合日にはスタジアムに近づかないようにしているが、バス利用者はスタジアム付近でなくても影響を受けていたのだ。

 試合開始のかなり前からスタジアムに向かう人々で道路は混雑していたが、それほどひどいものではなかった。しかし、試合終了後の混雑はより過酷だった。スタジアムまでの時間は人によってまちまちだが、試合が終わると、ほぼ全員が同じ時間に帰路につくため、混雑はより深刻になった。

 具体的には、バスサービスの運行ダイヤの信頼性は、試合前のピーク時には平均より8.7%低かったが、試合後のピーク時には

「24.5%」

低かったのである。アメフトの試合が交通機関の運行ダイヤの信頼性に最も大きな影響を与えたピークは約7時間であったが、この間は“混乱の核心”にすぎなかった、と研究者たちは述べている。また、この7時間の前後でも、交通機関は少なからず影響を受けていたことも判明した。