ラガルド総裁より他の理事、市場が重視するECB当局者発言-調査

AI要約

欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーの発言を注目するエコノミストの重視メンバーが明らかになった。

市場担当理事のシュナーベル氏とチーフエコノミストのレーン氏が注目を集める一方、ラガルド総裁よりも他のメンバーの発言が重要視されている。

ECBは政策転換期にあり、現在の動向を読み解くにはメンバーの発言が重要である。

(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーの発言から金利動向についてエコノミストが手がかりを探ろうとするとき、最も注目するのはラガルド総裁ではない。

ブルームバーグはエコノミスト25人を対象に、6人から成るECB理事会のうち発言を最も参考にするメンバー2人を挙げてもらう調査を実施。ラガルド総裁との回答は40%に過ぎず、市場担当理事のシュナーベル氏、チーフエコノミストのレーン氏の方が注目されていることが明らかになった。

ユーロ圏20カ国の中央銀行総裁の中で、エコノミストが最も耳を傾けるのはフランス中銀のビルロワドガロー総裁、オランダ中銀のクノット総裁だ。クノット氏はラガルド総裁の後を継ぐ次期ECB総裁候補との声もある。この2人に、ドイツ連銀のナーゲル総裁が3位で続く。

ECB政策委員会メンバーは26人で構成される。見解の幅は広く、それぞれの発言機会も多い。そのような中でECBの中核に一番近いのは誰なのか把握することは極めて重要で、政策転換期にある現在のような状況では、いっそうその重要性は増す。ECBはインフレ対策で実施した連続利上げの巻き戻しを開始したばかりで、今後の動向についてほとんど手がかりを与えていない。

調査結果は、ラガルド総裁の役割が前任者とは異なっていることも浮き彫りにする。

ラガルド氏はフランスの閣僚、国際通貨基金(IMF)専務理事を経てECB総裁に就任したが、中銀での経験はなかった。自分は政策委員会の報道官だと主張したトリシェ元総裁、政策行動を一方的に決めることも少なくなかったドラギ前総裁と比べ、ラガルド氏は合意を取り持つ議長として振る舞うことが多い。

ダンスケ銀行のチーフストラテジスト、ピエト・クリスティアンセン氏は「ラガルド氏の発言は非常に重要だが、シグナルの変化のような、転換点の示唆はない」と指摘。「ラガルド総裁下では、シュナーベル氏とレーン氏がECBの金融政策姿勢に強力な分析的論拠を付与する役割を担っている」と述べた。