ECBは利下げに慎重なアプローチ取る公算、選挙がリスク要因-調査

AI要約

欧州中央銀行は、政治的混乱や経済の落ち込みによるインフレ率のリスクに慎重なアプローチを取る見込みです。

アナリストたちは、利下げの休止と再開を予測しており、金利の道筋は不透明な状況に応じて決定される見込みです。

米大統領選挙やフランスの混乱などの政治的リスクがユーロ圏経済に影響を与えている中、市場は金利の動向に慎重な姿勢を示しています。

(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)は、政治的混乱によってインフレ率の2%回帰に対するリスクが積み上がる中、利下げについて慎重なアプローチを取るだろうと、ブルームバーグの調査に答えたアナリストが予想した。

ECBは6月に、中銀預金金利を0.25ポイント引き下げた3.75%とした。調査回答者は、来週の会合での利下げ休止と9月の再開を予想。その1年後に預金金利が2.5%になるまで四半期に1回ごと利下げをするとみている。

前例のない金融引き締めの巻き戻しが緩やかなペースになるのは、ユーロ圏を待ち受ける経済の落とし穴を見極めるのが難しくなっているためだ。インフレ圧力は依然として強く、数カ月間の停滞を脱した後の景気回復はすでに頓挫しているかもしれない。各国で行われる選挙、特に米国の大統領選挙は、政府支出から貿易に至るまであらゆるものについての見直しを必要にする。

アナリストたちは現在、11月の米大統領選挙とドナルド・トランプ氏再選の脅威を、ユーロ圏経済への最大のリスクと位置付けている。また、フランスの混乱は欧州債務危機の記憶をよみがえらせた。

このような不確実性を前に、ラガルド総裁率いる政策委員会は金利の道筋を事前に約束することはせず、データ次第で決定すると表明している。チーフエコノミストのレーン理事は、7月は現状を把握する機会になると述べている。

市場はエコノミストよりも慎重で、完全に織り込んでいるのは年内にあと1回の利下げだけだ。ただ、2回目の確率も高まりつつある。

INGのマクロ部門責任者、カルステン・ブルゼスキ氏は「現時点で利下げを継続する緊急性はない。従って、ECBはデータ依存のアプローチを堅持し、フォワードガイダンスを控えるだろうし控えるべきだ」と話した。

政治的要因はますます大きな影を落としている。米大統領選挙とトランプ氏の脅威に加え、域内ではフランスの選挙が投資家を動揺させた。