1980年代ハイソカーブームをけん引したトヨタ「マークII/チェイサー/クレスタ」 3兄弟とは? どれだけ売れた??【歴史に残るクルマと技術050】

AI要約

トヨタ“マークII 3兄弟”が1984年に同時にモデルチェンジし、バブル景気で大ヒットを記録した。

コロナ・マークIIの歴史と進化、5代目が導入されて高級感と高性能サルーンとして人気を博した。

5代目マークIIは先進的なエンジン技術や足回り構造により、幅広い層から支持を受けた。

1980年代ハイソカーブームをけん引したトヨタ「マークII/チェイサー/クレスタ」 3兄弟とは? どれだけ売れた??【歴史に残るクルマと技術050】

日本がバブル景気で浮かれ始めた1984年、トヨタ“マークII 3兄弟”が同時にモデルチェンジして、5代目「マークII」、3代目「チェイサー」、2代目「クレスタ」が登場した。3兄弟は、4年間で115万台という驚異的な販売台数を記録して、今も語りつがれる“ハイソカーブーム”を巻き起こしたのだ。

TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・歴代マークIIのすべて

コロナ・マークIIの源流である大衆車「トヨペット・コロナ」が誕生したのは、1957年のこと。その後、コロナはトヨタを代表する大衆セダンとして、日産自動車の「ブルーバード」とともに長きに渡りBC(Bluebird-Corona)戦争と呼ばれたライバル関係を築きながら大衆車市場をけん引した。

一方で1960年代も後半になると、クルマには高級感が求められるようになり、それに対応するために新たに開発されたのが、コロナの上級モデルとして1968年にデビューした「コロナ・マークII」である。

コロナ・マークIIは、クラウンとコロナの中間に位置づけられ、エンジンは1.6Lと1.9L直4 SOHCを搭載し、4ドアセダンと2ドアハードトップの他、バンやワゴンなど多彩なバリエーションを誇り、人気を獲得した。

その後、着実にシェアを伸ばしたコロナ・マークIIは、1972年に登場した2代目で大型化・上質化を果たし、1976年の3代目は丸型ヘッドライトと独立したフロントグリルが特徴のヨーロピアンな雰囲気、そして1980年に登場した4代目が直線基調のスタイルとピラードハードトップを採用して人気を博し、“「ハイソカー(ハイソサエティカー)ブーム”の火付け役となったのだ。

ハイソカーブームの代表的な存在となったのが、1984年に登場した5代目で、この世代から車名のコロナの冠が取れて単独ネームのマークIIとなった。直線基調のシャープかつスポーティなスタイリングで、先代同様人気の4ドアハードトップと4ドアセダンが設定された。

“時代をリードする高級・高性能サルーン”を開発コンセプトに、パワーとそれを支えフットワークの進化が図られた。エンジンは、最高出力130psを発揮する2.0L 直6 SOHC&160psの新世代“レーザーα”を名乗った新開発のDOHCであり、注目されたのは国産初のツインターボエンジン搭載の185psを発生するGTグレードで、スポーツカー並みの性能を発揮した。

足回りについては、4輪独立サスペンションとし、上級モデルにはダンパーの減衰力を3段階に制御する電子制御のTEMS(トヨタ電子制御サスペンション)が組み込まれた。さらに、操舵力を車速に応じて連続的に制御する2モード・プログレッシブ・パワーステアリング機構も採用された。

5代目マークIIは、優れた走りと快適性、そして豪華な装備により幅広い層から支持を集め、ハイソカーの代表と認知され、マークIIに乗ることがひとつのステータスとなった。1985年の月販台数は1万2000台を超え、その後2万台を超えることもあった、空前のヒットとなったのだ。