“高温に強く最高評価の味”新品種でコメ作り 過酷な猛暑…奮闘する農家を取材

AI要約

農家が猛暑に負けないコメ作りに奮闘している。

新品種のコメ「サキホコレ」が高温に強く、販売価格は据え置き。

暑さ対策として二期作や耐暑品種の開発が進められている。

“高温に強く最高評価の味”新品種でコメ作り 過酷な猛暑…奮闘する農家を取材

 去年以上に過酷な猛暑のなか、農家が暑さに負けないコメ作りに奮闘しています。1回の田植えで2回収穫できる新たな「二期作」を始めた農家もいます。

 連日、猛暑が続く日本列島。この暑さでピンチなのが、コメです。

 東京・港区にある秋田県のアンテナショップ・あきた美彩館で販売されている「あきたこまち」は、去年の暑さの影響から今年の販売価格が1割アップしています。

 一方、その横で売られている「サキホコレ」は去年の価格を据え置いています。

あきた美彩館 尾形静子副店長

「サキホコレは高温に強いので、安定した供給ができているからだと思います」

 おととしデビューした新品種「サキホコレ」。味は最高評価の「特A」を取得するなど折り紙付きで、最も特徴的なのが「高温による品質低下が少ない」ことです。

 今、暑さ対策はコメ農家にとって喫緊の課題です。

コメ農家

「この暑さ、今までなかったですよ」

 千葉県柏市で50年間コメ作りをしてきた柏染谷農場の染谷茂社長は、作付面積150ヘクタール・年間1万5000俵のコメを作る大ベテランです。

染谷社長

「自分でも経験していない暑さが、ここ数年始まったんだけど、暑すぎるとイネの力が発揮できない場面も。水がなかったりすると、コメそのものが白くなってしまう」

 去年のコメは品質低下が目立ったため、今年は田んぼの水を枯らさないよう、例年以上に警戒を強めています。

 高温時にはイネの栄養分が低下しやすく、今年は葉の色を見ながら、必要な養分を追加で与える「追肥」を行っています。

染谷社長

「今まで1回でやれば十分だったのを、2回に分けてやるとか、そういう工夫はこれからもっと必要になってくると思う。一等米から二等米に下がれば、(卸値が)300円、500円下がる」

 福島県の農家では、こんな対策も…。

未来農業 丹野友幸社長

「川上の方の地域に分散させて、今年は作付けしています」

 未来農業では今年、酒米については全体の作付面積の3分の1を、去年までの田んぼから1.5キロほど離れた場所で栽培しています。

 田んぼに引き込む用水の上流部にあたるため、水温が低く、暑さの影響を受けにくいということです。

丹野社長

「高温に耐えられる品種を経営に取り入れていく対応策しか、もしかしたら農家にはないのかもしれない」

 「暑さに強いコメ」を求める生産者の声に応じたのが、新潟大学の研究チームです。

新潟大学農学部 山崎将紀教授

「大赤字に新潟県の生産者がなったのが去年の現状です。なんとかしなくちゃいけないと考えました」

 研究チームは、3年前からコシヒカリをベースに、暑さに強い新品種の開発を進めています。

 去年、新潟県のコメ農家が大きな被害を受けたことから、クラウドファンディングで300万円の研究費を募ることにしました。

山崎教授

「このような状況(猛暑)が続けば、米の生産をやめる農家が続出すると予想していて、危機感を持っています」