商業用不動産の価値40兆円が消失も-在宅勤務で空きオフィス高水準

AI要約

在宅勤務の定着に伴い、2026年までに米国の全オフィススペースの4分の1近くが空室になり、商業用不動産の価値が2500億ドル(約40兆円)減少する見込み。

ムーディーズの試算によると、オフィス空室率の上昇や賃貸料の下落により、オフィス貸主の収入が80億-100億ドル減少する見込み。

米国の主要都市のオフィスの稼働率は新型コロナウイルスの影響で約50%にとどまり、在宅勤務率の高いホワイトカラー部門に焦点が当てられる。

(ブルームバーグ): 在宅勤務の定着に伴い、2026年までに米国の全オフィススペースの4分の1近くが空室になり、商業用不動産の価値が2500億ドル(約40兆円)減少すると、ムーディーズが試算した。

ムーディーズのリポートによると、米国のオフィス空室率は26年に24%と今年1-3月(第1四半期)の19.8%から上昇すると予想される。賃貸料の下落やリース収入減などでオフィス貸主の収入は80億-100億ドル減少する見込みだという。

これは2500億ドル規模の「不動産価値破壊」につながり得ると、ムーディーズの商業用不動産予測担当アソシエートディレクター、トッド・メトカルフェ氏と、商業用不動産エコノミクス責任者、トム・ラサルビア氏がリポートとは別に分析した。

ムーディーズの試算は、企業がオフィススペースを削減したり、複数年リースから短期で柔軟性の高いコワーキングにシフトしたりする中で物件のオーナーや資金の貸し手にとって見通しが暗いことを示している。

仲介業者のジョーンズ・ラング・ラサールが行った調査では、北米の企業の85%がハイブリッドワークを導入しており、米国の主要都市のオフィスの稼働率は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の約50%にとどまっている。揺らぐ需要と借り入れコストの上昇により、特に古いビルのオフィス評価は低迷している。

ムーディーズのリポートの著者は「多くの企業にとって、リモートワークを維持する、あるいは増やすという主張は依然として説得力がある。生産性が安定していて、物理的なオフィススペースを省くことでコストを削減できるのであれば、オフィスへの出勤を義務付ける根拠は薄れる」と指摘した。

ムーディーズの分析は、在宅勤務率が最も高く米国のオフィス不動産利用の大半を占めるホワイトカラー部門(金融、情報、不動産、管理部門など)に焦点を当てた。パンデミック前から在宅勤務をしていた人についてや、2008年の金融危機以降に始まった労働者1人当たりに割り当てられるオフィススペースの減少も考慮した。