新宿駅の風景から“何かが消えた”… 100年に一度?「西口から東口が見える」空前絶後の光景 再開発の全貌

AI要約

新宿駅は世界一の乗降者数を誇る巨大ターミナル駅で、南北にJR各線、西側に私鉄、北に東京メトロ、南に都営地下鉄と京王線が入り組む。

地下と地上の通路は常に混雑し、東西への移動が難しい構造だったが、2020年の改修によって便利になった。

近年、駅周辺の再開発が進行中で、多くのビルが建て替えられるなど大規模な変化が起きている。

新宿駅の風景から“何かが消えた”… 100年に一度?「西口から東口が見える」空前絶後の光景 再開発の全貌

 新宿駅は1日約350万人もの利用者があり、世界一の乗降者数をキープし続ける巨大ターミナル駅です。駅は南北にJR各線の乗り場があり、西側に京王電鉄と小田急電鉄、北は東京メトロ丸ノ内線、南は京王新線と都営地下鉄新宿線、南北に都営大江戸線という位置関係です。

 

 地下と地上の通路は朝から晩まで人、人、人。通勤通学、買い物、観光、さらに外国人観光客も急増し、大きな荷物を抱えた旅行者達が右へ左へと移動しています。

 新宿駅は東西へ抜ける歩行ルートにやや難がありました。西口には「西口地下ロータリー」や地下広場があるのですが、東側へ抜けるには、北側の地下自由通路か南口の甲州街道を使う、あるいは入場券を購入して、JRの駅構内乗り換え通路を使って横断するくらいしかありませんでした。

 2020年7月、JRの改札口が移転して地下乗り換え通路が自由通路化したため、地下の東西移動は便利になりましたが、日々新宿駅を利用していると、昭和の中頃に完成したこの駅の全体的な構造は、増加し続ける利用者を受け入れるには限界が来ていると感じます。

 平成が終わりを告げるころ、飽和状態にも思える新宿駅は鉄道会社各社と行政が協力し、官民一体となって再開発されることになりました。新宿区の資料では、2017(平成29)年6月に「新宿の新たなまちづくり」を策定し、2021年7月に事業計画が決定。駅を取り囲むように建ち並ぶビルを建て替え、駅前広場の再編、東西の移動通路刷新など大掛かりな再開発が始まり、一連の事業は「新宿グランドターミナル」と名付けられました。

 駅ビル解体の口火を切ったのは、小田急百貨店本館ビルです。1967(昭和42)年に開業したこのビルは、西口地下ロータリーも手がけた坂倉準三の設計で、小窓がずらりと並ぶような特徴的なデザインでした。

 半世紀ものあいだ新宿西口の顔となっていた同ビルは2022年6月に閉館し、解体作業が始まりました。ビルの地下は昼夜問わず人々が行き交う空間のため、解体作業は時間をかけて行われ、2024年になって外観がほとんど姿を消しました。

 そんな変わりゆく新宿駅を、上空から捉えました。空撮は一般的な建物や街並みの撮影と同じように、セスナ機から撮影します。駅を中心として東西南北の全景を撮りつつ、機体を60度バンクさせて真上から垂直撮影し、列車と絡めて駅と鉄道と再開発を意識します。

 西口には高層ビル群が林立していますが、ビルの影が駅にかかるほど近接していないため、撮影にさほど影響はありません。ただ、再開発のディティールを記録したいため、影のない曇り空のほうが詳細に写ります。

 撮影日は2024年5月8日。新宿駅の上空は大きな雲が覆い被さり、運よく曇天状態となりました。ただし、水平線まで入れる引き絵では、晴れ間と雲影の差が出てしまいます。撮影時は水平線を意識せず、駅の周囲を被せるように斜め角度で撮るため、問題なく実施できます。

 まずは、小田急百貨店本店ビルが消えた西口を中心に記録。小田急百貨店本館が無くなっている光景は、今まで見たこともない新宿駅の姿です。駅ビルがひとつ無くなるだけで、駅前がずいぶんとスッキリしたような、何かが抜けてしまった不思議な感覚にとらわれました。