「スキルが足りない」と焦る人が見落としている「たった1つのこと」

AI要約

新人・若手社員が抱えるキャリアに関する不安について、スキルアップの考え方を解説。

スキルとは経験と能力との関係性に焦点を当て、自身の強みを見極めるためのアプローチを提案。

経験、スキル、能力を明確に整理し、スキルが活きる場所や仕事のスタイルを考える重要性を強調。

「スキルが足りない」と焦る人が見落としている「たった1つのこと」

 いよいよ配属先が決まり、本格的に仕事がスタートしたという新入社員も多いだろう。実際に仕事をすると、職場の人間関係や今後のキャリアなど、さまざまな悩みが出てくるかもしれない。連載『「40代で戦力外」にならない!新・仕事の鉄則』も好評の石倉秀明さんが、新人・若手社員のあるあるな悩みに答えていく。最終回は、「スキルアップ」の考え方を解説する。(構成/ダイヤモンド・ライフ編集部)

【Q:自分のキャリアに漠然とした不安があります。何かスキルを身に付けたいと思いますが、何を勉強すればいいか分かりません……。自分のキャリアのために学ぶことをどう見つければいいのでしょうか】

 (※質問内容は、編集部の取材を基に作成しています)

 スキルアップやリスキリングといったワードをよく耳にしますが、そもそも「スキル」とは何を指しているのでしょうか。

 スキルと経験は何が違うの? スキルと能力はどう違うの?

 と聞かれても、答えられる人は少ないと思います。みんなあいまいに使っているんですよね。

 僕自身は次のように定義しています。

● 経験・スキル・能力で考える 「強み」は相対的に決まる

 経験…やったこと(例:3年間営業をやった)

スキル…経験を通じて身に付けることができたもの(例:自分で見込み顧客リストを作成し、新規開拓して○○円くらいの規模の売り上げをつくることができる)

能力…経験をスキルに変えるために必要なもの(例:相手のタイプに合わせてコミュニケーションのスタイルを変える能力)

 「スキルが足りない」と感じているのは、そもそも経験が足りないのか。あるいは、経験はしているけど、スキルに変える能力がないのか。まずは、どこに問題があるのかを言語化してみましょう。

 経験はしているのにスキルとして身に付いていないんだとすると、それは能力の問題。経験を再現性のあるスキルに変えられないということなので、「言語化する能力」や「抽象化する能力」を身に付けたほうがよいのではないか、というように考えることができます。

 言語化がうまいと思う人にコツを聞いてみるとか、本を読んで学ぶとか、そうしたことのほうが資格を取得するよりもスキルアップに効果的かもしれません。

 また、そのスキルが自分の強みになるかどうかは、あくまでも周りとの相対で決まります。

 例えば、クラスでは一番足が速い人が、陸上部に入ったら遅いほうになる……ということはよくありますよね。

 これと同じで、営業力の強い外資系保険会社では厳しいかもしれないけど、プロダクトはいいけどエンジニアが多くて営業に強い人がいないITベンチャーだったら、「すごい営業できる人」になれるかもしれない。

 要するに、同じスキルでも、どの場所にいるかで価値は変わるんです。

 まずは自分の経験・スキル・能力、どれが足りないのかを書き出してみる。その上で、スキルが生きる場所や仕事の仕方を考えてみるのが良いのではないでしょうか。

 いしくら・ひであき/山田進太郎D&I財団 COO。2005年に株式会社リクルートHRマーケティング入社。その後、リブセンス、DeNA、起業などを経て2016年より株式会社キャスター取締役COOに就任(2021年より取締役CRO)。2023年10月の東証グロース市場上場に貢献し、2023年12月からは働き方について研究、調査を行うAlternative Work Labを設立し所長就任(現在も兼任)。FNN系列「Live Newsα」、AbemaTV「ABEMAヒルズ」レギュラーコメンテーター。