これぞ海上の芸術品 日本の玄関口 関西国際空港 随所に光る建築美 旅客を魅了 関空探訪 開港30年

AI要約

関西国際空港は30周年を迎え、新型コロナウイルス禍で旅客数が急回復中。ターミナルのデザインや設備にも特徴があり、細部にこだわりが見られる。

オープンエアダクトやトラス構造など、自然と現代技術が共生するデザイン。建物内外に美しいコントラストや設計が施されている。

第1ターミナルは米プリツカー賞を受賞したイタリア人建築家が設計し、和と洋の融合が感じられる空港である。

これぞ海上の芸術品 日本の玄関口 関西国際空港 随所に光る建築美 旅客を魅了 関空探訪 開港30年

世界初の「完全人工島からなる海上空港」として誕生した関西国際空港は今年9月、開港30周年を迎える。この30年でアジアの玄関口に成長、新型コロナウイルス禍で落ち込んだ旅客数も急回復中でコロナ前を上回る勢いだ。西日本最大のゲートウエーは、その設備にも特徴がある。空港の顔、ターミナルには知られざるデザインの工夫があった。

◆細部にこだわり

4階建ての第1ターミナル。現在は令和3年5月から開港以来最大規模の改修の真っ最中だ。大阪・関西万博開催直前の令和7年春までに主要機能を整備し、8年秋に完了予定だ。

帰国の途に就く訪日客らが列をなす4階の国際線出発フロアを見上げると、天井を這(は)うように規則的に張られた白いテフロンの帆。空調をフロア全体に行き渡らせる「オープンエアダクト」だ。

オープンエアダクトを構成するのは、この帆と1階から4階までの吹き抜けを貫く巨大な青い煙突のようなジェットノズル。ノズルから吹き出る冷暖風を帆に吹きつけ、帆に沿って流れた風がフロア全体に行き渡る。帆とジェットノズルは19ずつある。帆の途中に取り付けられたグライダーがくるくると羽を回転させる。「風の流れが見えるためのこだわり」だ。帆には下から光が当たり、間接照明の役割も果たしている。

帆と平行して屋根を支える梁(はり)は、三角形を組み合わせたトラス構造が150メートルにわたってつづく。三角を構成する直線と、ぴんと張られた帆で現れる曲線が、美しいコントラストを演出する。

◆自然と現代技術

第1ターミナルは約3年かけて完成。「建築界のノーベル賞」とされる米プリツカー賞を受賞したイタリア人建築家、レンゾ・ピアノ氏が設計した。「自然と現代技術の共生」がコンセプトだ。

風の流れが「見える」オープンエアダクトはその象徴。また天井から採光する巨大な吹き抜けは「自然」、建物内外の至るところで採用されたトラス構造は「建築美」の象徴という。

館内では4階の渡り廊下から天井のトラス構造を間近に見ることができる。搭乗口では、天井にかけて湾曲した柱がずらりと並び、筒をのぞき込んだような奥行きを感じる。このエリアでも、トラスが描く三角形を無数に見ることができる。