「有罪」のトランプ氏、選挙と司法闘争を並行 ほか3事件で起訴、民事も

AI要約

トランプ前大統領は不貞行為の口止め料をめぐる事件だけでなく、3つの刑事事件で起訴されている。

最も深刻な事件は選挙結果の妨害を共謀したとされるもので、政治的、社会的影響が大きい。

さらに、民事事件も含めて複数の事件に巻き込まれており、弁護士費用を選挙資金からまかなっているとされる。

「有罪」のトランプ氏、選挙と司法闘争を並行 ほか3事件で起訴、民事も

米共和党のトランプ前大統領は、5月30日に有罪評決を受けた不倫口止め料を巡る事件のほかにも、3つの刑事事件で起訴されている。いずれも公判期日などは確定していないが、11月の大統領選に向けた選挙戦と並行して「司法闘争」が続くのは避けられない。

トランプ氏が訴追されている中で最も深刻度が高いのは、2020年大統領選での落選を覆すために、選挙結果を確定する公的手続きの妨害を共謀したとされる事件だ。21年1月に起きたトランプ支持者による連邦議会襲撃の引き金ともなった問題だけに政治的、社会的影響が大きく、トランプ氏側も防戦に力が入る。

その一環としてトランプ氏は、大統領在任中の行為については「免責特権」が保障されていると主張し、その審理を連邦最高裁に持ち込んだ。6月中にも下されるとみられる判断で免責が認められなければ、トランプ氏は民主主義の根幹に関わる罪で司法の審判を受けることになる。

またトランプ氏は、同じく大統領選での敗北を覆すために南部ジョージア州の開票手続きに干渉したとされる事件では、起訴を行った黒人のファニ・ウィリス検事に利益相反の疑いがあるなどと主張。大統領退任時にホワイトハウスから持ち出した機密文書の管理などを巡る事件では、5月に予定されていた公判開始が裁判所側の判断で「無期限延期」となっている。

トランプ氏はこれらの刑事事件に加え、一族企業が不正に融資を受けた疑惑や、女性に対する過去の性的暴行に絡む名誉毀損(きそん)訴訟などの民事事件も抱える。膨大な額の弁護士費用を選挙資金からの流用でまかなっているとされる。(ワシントン 大内清)