英労働党、経済界と協調敷く 英下院解散、7月4日総選挙 14年ぶり政権目指す

AI要約

英下院が解散し、労働党と保守党の総選挙戦が始まる。労働党が政権奪還の可能性が高く、経済界の支持も得ている。

労働党は急進左派路線から経済界との協調路線に転じ、EU重視を打ち出している。一方、保守党は安全保障政策を重視し、若者への兵役制度導入を公約している。

保守党はインフレの沈静化を強調し、経済の安定化を訴えている。

【プラハ=黒瀬悦成】英下院(定数650)が30日に解散した。7月4日投開票の総選挙に向けた各党の選挙戦が本格化する。スナク首相率いる与党の保守党は最大野党の労働党に支持率で大きく引き離されており、労働党が14年ぶりの政権奪還を果たす公算が大きくなっている。

下院の現有勢力は保守党345議席、労働党206議席。労働党が議長らを除いた実質的な単独過半数を確保するには110議席超を積み増す必要がある。

調査会社ユーガブの世論調査(28日)によると、労働党に投票するとの回答は47%で、保守党20%を大きく引き離している。

野党の労働党は、2019年総選挙で惨敗する原因となった急進左派路線を軌道修正し、経済界との協調路線に転じた。保守党が欧州連合(EU)離脱を主導したのに対し、労働党はEU重視を打ち出し、離脱で冷却化した関係の修復を図るとしている。

英企業トップら121人は28日付の英紙タイムズに労働党の経済政策を支持する共同書簡を発表した。

経済界は従来、保守党を支持する傾向にあったが、EU離脱や同党のトラス前首相による大型減税策の失敗を問題視し、労働党にくら替えする動きが一部で目立ちつつある。

一方、スナク首相率いる与党の保守党は、ウクライナを侵略したロシアの脅威増大をにらみ、学校を卒業した18歳の若者に兵役または社会奉仕を義務付ける新制度の導入を公約するなど、安全保障政策を主要な争点に据えることで他党との差別化を図る。

スナク氏はまた、政権がインフレの沈静化で成果を上げたとし、経済を本格的な安定軌道に乗せるには、保守党に引き続き政権を任せるのが妥当だとする主張を展開している。