【英国】保守党、徴兵制復活を公約 18歳国民が対象=総選挙勝利なら

AI要約

英国のスナク首相は、与党・保守党が勝利すれば18歳の国民に兵役または社会奉仕活動を義務付ける方針を明らかにした。

保守党の計画によると、男女を問わず1年間の兵役または週末の奉仕活動が義務付けられ、軍部は年間3万人を受け入れる予定。

労働党は新制度への資金使用を批判し、英国軍の人員数の減少や国家安全保障の見直しに対する批判も行っている。

 英国のスナク首相は26日、7月4日の総選挙で与党・保守党が勝利すれば、18歳の国民を対象に1年間の兵役または社会奉仕活動を義務付ける方針を明らかにした。兵力の増強に向け、1960年に廃止された徴兵制を復活する格好となる。支持率で同党を大きくリードする最大野党・労働党は、「票目当ての必死の策だ」と批判している。

 保守党の計画によると、18歳の国民は男女を問わず1年にわたりフルタイムで兵役に就くか、月に1度、週末に国民医療制度(NHS)や消防署、警察で奉仕活動をすることを義務付けられる。英国軍はこの制度に基づき年間3万人を受け入れる。

 スナク氏は、「若者は貴重なスキルを身につけるとともに、国家安全保障が向上し、より強固な国民文化が築かれる」と強調。新制度の費用25億ポンドは、脱税や租税回避の取り締まりと、地域格差解消のための基金からの拠出で賄うとしている。

 これに対し労働党のスターマー党首は、多額の資金を新制度に費やすことを批判し、「労働党ならこれをNHSへの投資に充てる」と指摘。また、同党の報道官は、「兵力の見直しが必要になったのは、そもそも保守党政権下で英国軍が空洞化したからだ」と批判している。

 英国軍の人員数は、保守党政権が発足した2010年には約10万人だったが、現在は7万3,000人。ウクライナ侵攻でロシアの脅威が高まる中、軍部は「国民軍」の必要性も示唆していたが、政府はこれまで拒否していた。