<北朝鮮内部>「匙を持てる者は全員行け」 各地で農村総動員が本格化 市場は短縮運営、不参加者は拘留

AI要約

北朝鮮で農繁期を迎え、農村動員が始まり国営商店や市場の営業時間が短縮されるなど総動員体制が整えられている。

強制的な農業作業への参加が行われ、参加しない場合は処罰を受ける仕組みとなっている。

農村総動員令での現地の様子や労働者の農村派遣状況についても報告されている。

農繁期を迎えた5月初めから、北朝鮮各地で農村動員が始まった。農村派遣を最優先にするため、国営商店や市場の営業時間を短縮。動員される労働者には食糧配給を実施するなど、総動員体制を整えている。(チョン・ソンジュン/カン・ジウォン)

北朝鮮では毎春、都市住民や労働者が協同農場に出向いて、トウモロコシの種まき、田植え、草取りなどの援農作業を行う。正当な理由なく参加しないと処罰を受ける強制動員である。

5月中旬、両江道(リャンガンド)に住む協力者が伝えたところによると、5月6日から全国で農村動員期間が始まったという。

「女性同盟(朝鮮社会主義女性同盟)では周辺の農村に1日2時間以上動員されていて、種まきや草取りなどをしている。市場が開くのは午後5時以降で、売店や食堂はすべて早く閉まる。国営商店だけは午後1時から開店している。

※女性同盟 主に職場に籍を置いていない主婦で組織される。

同じ時期、咸鏡北道(ハムギョンプクド)に住む協力者も、農村総動員令で統制が強化された現地の様子を次のように伝えてきた。

「匙が持てる者は全員動員に出て来いという方針だ。治療や個人的な事情で参加できない場合は、人民班長と担当安全員(警察官)のサインが入りの診断書と証明書が必要だ。

職場に勤める者の場合は、作業班長と細胞秘書(末端の党組織責任者)の承認が必要だ。生活が苦しくて食べられず動員参加が困難な人でも、結核や貧血の治療などの診断書をもらわなければならない。書類がないと拘留され、農村に送られる」

咸鏡北道の協力者によれば、多くの労働者が農村に動員された工場の中には、稼働中断になって門を閉めている所もあるという。また作業する人員が多く、「畑に雑草がまったく見当たらないほど」だという。

両江道の協力者は労働者の農村派遣状況について次のように説明する。

「農村への動員は企業ごとに行うのだが、『突撃隊』に選抜された人員は、すでに4月中旬には農村に送られている。それ以外の労働者は、2~3日間滞在したり、日帰りで農村に行ったりするが、必ず参加するように要求される」

※突撃隊:主に国家的プロジェクトの建設・土木工事を遂行するために組織される。軍隊式に運営される。